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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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UPしたはずなのにエラーでUP出来ていませんでした!!遅くなってごめんなさい!!
七夕リクエスト第二弾です!!


『ジョリカの小説でお願いします。内容は七夕ということで、ジョリカが天の川を見ている感じで。なお、ロマンチックにお願いします。』
とのことでした。
やっぱり、七夕って星に関するイベントだからリクエストもカビ系が多いですね!
最近ジョリカもマイナーからメジャーになっているようで嬉しいです☆


リクエストくださったクウラ様、ありがとうございました。
こんなものでよろしかったでしょうか!?
よろしければお持ち帰りください

『Promise of the Milky Way』
(天の川の約束)


ずっと小さな子供の頃、母の手に引かれて見せてもらった天の川。
綺麗な天の川を眺めていたのは、大好きなお母さんと、後から来た男の人。
その人は誰かを抱いていた。



「・・・あれ?」

夢から覚めたシリカは首を傾げた。
まだシリカがほんの物心付くか付かないかの年頃。
戦乱が激化する前に母・ガールードが忙しい合間を縫ってシリカと一緒に過ごす時間を作ってくれた大事な思い出。
あの時、シリカ達以外にも誰か来ていた。
それはシリカも覚えている。
普段滅多なことでは驚かなかった母がその人物を見た途端に目をまん丸にして驚いて、それからおかしそうに笑っていた。
その人は背の高い男の人、最初はシリカも緊張気味で挨拶した記憶があるが、その人は優しく笑ってくれていてシリカはすぐに懐いた。
その人も誰かを連れてきていた。
誰かをその手に抱いていた。
だが・・・。

「・・・思い出せない」
シリカは必死に記憶をたぐり寄せて思い出そうとするが、その人が抱いていた人の顔がもやにかかったようで思い出せない。
背が高い人とはいえ、その手に抱けたのだから、相当小さい。
子供であることは間違いないのだが、どうしてもシリカには思い出せなかった。

(でも、思い出せないのはそれだけじゃないのよね・・・)

シリカは嘆かわしげにため息を付いた。
ガールードと一緒に行った思い出の、天の川を見た場所。
確か、銀河有数の天の川が一番綺麗に見える場所と話していた。
だけど、それだけではわかりようがない。
せめて、もう一度行きたいと思っていたシリカだが、場所がわからなくてはどうにもならない。
「・・・無理よね」

「なにがだ?」

独り言に反応されてシリカは慌てて振り返った。
いつの間にいたのか、ナックルジョーがシリカのすぐ後ろに立っている。
ジョーの気配に気がつかないくらいに考え事に没頭していた自分に気恥ずかしさを感じながら、シリカは渋々口を割った。
「夢見たのよ。母さんと行った思い出の天の川が見える場所。だけど、その場所が思い出せないの」
「天の川?」
「小さい頃、母さんに連れて行ってもらったの。ほんの小さい頃だけど、すごく綺麗で母さんの知り合いも来るくらい綺麗な所だったのは覚えてるわ」
シリカは半ば捨て鉢になって説明した。
生意気なジョーのこと、こんな話をしたら「バーロー、それだけで場所がわかるか」とか「相変わらずマザコンだな。シリカは」なんて言うことが目に見えていた。
だが、ジョーはじっと口に手を当てて考え込んでいる。
真剣に考えているのか、生意気な言葉が口をついて出ることはない。
「もしかして・・・、いや、でも・・・」
「ジョー?」
いつになく真剣なジョーにシリカはおずおずと話しかける。
すると、ジョーは急に何か思い出したように顔を上げた。
「それだ!!シリカ、悪ぃ野暮用出来た!!他の仕事頼む!!」
「ちょっと!!ジョー!!」
一目散に自分の部屋に駆け込んでしまったジョーの後ろ姿に悪態をつきながら、シリカは首を傾げた。






その夜、シリカは自分の部屋から夜空を見上げていた。
星空に天の川は見えない。
今いる星はネオンが明るすぎて天の川が見えないのだ。

『お母さんもね、まだ結婚する前にお父さんと一緒にこの天の川を見に来たことがあるのよ』

夢の中でガールードはシリカにそう言って聞かせていた。
大事な人と一緒に見た天の川、シリカも大きくなったら大事な人と見に行くとガールードに言っていた。
(・・・そうか。だから、見に行きたくなったんだ)
小さい頃思ったことを実行したくなって潜在的に思い出したのだろう。
だが、肝心の場所がわからない。
シリカは枕に頭を埋めた。
(私ったら、本当にバカだ・・・)
半ばやけくそになりかけたシリカはそのまま瞼を閉じる。

「おい!!シリカ!!起きろ、行くぞ!!」

「ちょっ!!勝手に入ってこないでよ!!いつも言ってるでしょ!!」
ノックも無しでいきなり部屋に入り込んできたジョーに起き上がって怒鳴るシリカだが、ジョーはお構いなしでシリカの手を引くと小型宇宙艇の置いてある部屋へと連れて行く。
「痛いってば!!いきなりなんなのよ!!」
「いいから黙って付いてこいよ!!すぐ出発するぜ!!」
「どこに!?」
「いいから早く!!」

ジョーはシリカを宇宙艇に乗せるなり、すぐに出発してしまう。
窓も全部閉じられた状態だった。
あまりに慌ただしく不審な行動にシリカは眉を潜める。
「一体全体どこに連れて行くつもりなの?」
「それは着いてからの楽しみにしておけよ。あと、俺がいいって言うまで目は閉じておけよ」
「はあ!?」
「・・・ビックリするから」
ジョーは意味ありげに笑って見せる。
だが、こういう時のジョーは嘘をつかないことを知っているシリカは渋々目を閉じた。
しばらくして宇宙艇が着陸した感触がした。

「着いたぜ」、そう言ってジョーが目を閉じたままのシリカの手を引いて外へと連れ出す。
ひんやりとした涼しい風に乗ってみずみずしい草木の匂いがシリカの鼻孔をくすぐった。

(あ・・・)

どこか覚えのある匂いと雰囲気。
目は閉じたままで見えないが、シリカはすぐに覚えのある土地だとわかった。
ジョーもシリカの様子に気がついたのだろう。
微かに笑ってそっとシリカの手を離す。
「・・・もういいぜ。空、見てみな」
そう言われてシリカはそっと瞼を開く。



目を開いたシリカの目の前に広がっていたのは満天の星々。
白く見えるまでに無数の星が密集した壮大な星の群れ、天の川だった。
その光景はシリカが夢で見た記憶の景色と寸分も違わない。
「ここ・・・、母さんと一緒に見た所だ・・・」
「やっぱりな。シリカの話聞いてピンと来たんだよ。俺も親父から聞かされてたからさ、一番天の川が綺麗に見える星・サドルの事は」
サドルは天の川に隣接した星で、鬱蒼とした自然に囲まれた住人のいない原生のままの星。
澄んだ空気と邪魔なネオンが一切ないこの星では天の川が一番綺麗に大きく見えるのだという。
「俺もほんのちっちゃい頃、親父に連れてきてもらったんだ。まだうまく歩けなかった頃だから、俺は親父の腕に抱きかかえられてたけど・・・」
「えっ!?」
思いも掛けないジョーの言葉にシリカは振り返った。
もしかしたら・・・。
シリカの夢でどうしても思い出せなかった、あの男の人に抱かれた小さな子の正体は・・・。
「戦士団の知り合いが同じ日に来てて親父の奴、おったまげてたぜ!よりによって親父と同じように向こうも子供連れてきてたからさ。親父があんなに驚いた顔してたの初めて見た」
「それって・・・、相手の子って小さい女の子?」
おそるおそる尋ねたシリカだが、ジョーはあっさり首を振った。
「そこまでは覚えてねえんだよな。親父とこの星の事だけはちゃんと覚えてたんだけど」
(・・・こいつ、私が期待して聞いたって言うのに)
的外れな返事を返してきたジョーにうらめしく思いながら、シリカはそっぽを向いた。
だが、シリカも相手の抱いていた子を覚えていたわけではない。
本来ならおあいこなのだが、それでもシリカの機嫌は納まらなかった。
ジョーはシリカの機嫌を気にするわけでもなく続けた。
「親父も、若い頃お袋とここに来て一緒に天の川見てたんだって話してくれた。だから、俺にも大事な人が出来たときにここに連れて行けるように覚えておけって。それでここのことは覚えていたんだ。いつか、絶対にまた来るって、今度はでかくなって大事な人と来るって決めてたから」
「えっ!?それって・・・」
思わず振り返ったシリカにジョーは慌ててそっぽを向いた。
微かに見える頬の一部が赤く染まっている。
いつもの年相応な少年の一面を見せたジョーにシリカは淡く笑む。
あの時出会った子供の姿は正体がわかった今になっても思い出せない。
だが、それはもうシリカにとってどうでもいいことだった。
残っているのは子供の頃に決めた事ひとつだけ・・・。

「ジョー、こっち向きなさい」
「ぜってえ嫌だ・・・」

「ジョーったら」
「うるせえ、黙れ」

「ジョー」
「い・や・だ!!」

てこでも振り向きそうにないジョーにシリカはふっと笑い混じりのため息を付く。
そしてとっておきの一言を口にした。

「おチビー」
「っ!!こらっ!!チビって言うなって何度・・・」


コンプレックスである一言を言われて思わずジョーは振り返った。
途端、ふわりとしたシリカの髪から甘い香りがジョーの鼻孔をくすぐった。
その香りに気を取られていた間にシリカの唇がジョーの唇に触れていた。
突然の展開にジョーの顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。
唇を離したシリカも赤くなっていたが、すぐに笑ってみせた。
「シ、シ、シ、シリカ・・・、おま・・・」
「大事な思い出よ。今度は忘れたら承知しないからね」


『じゃあね、私も大きくなったら大事な人とここに来る。それで、その時までファーストキスは大事にとっておくの』


小さい頃のシリカが大好きな母親だけに明かした秘密。
もう少しで叶えられないまま忘れそうになってしまっていた。
ジョーが連れてきてくれて、この天の川を見たときに思い出したもう一つの約束。
シリカは天の川を見たまま話しかけた。

「連れてきてくれてありがとう。ジョー」
「・・・おう」






2人はそのまま天の川を眺めていた。
だが、過去に二回、同じような光景でそれぞれの親同士がこの場所で結ばれたのを子供だった2人は知らない。
天の川だけが、そのことを知っていた。



 

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