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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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前にもこんなタイトルあったような気がしますが、おいといて・・・。



父の日ネタで書き上げました。
母の日はカビ、もといメタ中心でしたが、父の日は絶対にフォックスでしょう☆
そんな訳で父の日題材で書かせていただきました。
こっちはちゃんと明確なストーリーがあるので小説にしづらいです。
切なさ、悲しさ満載のフォックスのお父さんエピソードですが、過去にこんな思い出があったらいいです。
子狐フォックスを書くのは楽しかったです。かわゆすぎ・・・。


でも、レグは本当にリンクとフォックスのコンビが好きだなあ;;;
ファルコ涙目・・・。

『Scenery is higher than the sky.』
(空より高いその景色)




夕暮れになって遊んでいた子供達を親たちが迎えに来た。
一人、また一人、と遊んでいた公園から子供がいなくなっていく。
夜の帷が殆ど降りて、公園の街灯がほのかに明るくなった頃には夕日の灯りはほんの僅かしかない。
迎えがまだ来ずに、一人残ってブランコに腰掛けていた子供は心細げに夕闇に視線を向ける。
心細さに涙ぐみそうになったとき、その子の耳に少し乱れた息づかいとその子の名前を呼ぶ声がした。
あたたかくてほっとする声に子供は顔を上げる。
迎えに来たその大人は決まり悪そうに微笑みながら、可愛い我が子の頭を撫でた。
子供は迎えに来た親に喜んでブランコから降りて抱きついた。
その仕草にその人は嬉しそうに笑って、その子を抱え上げる。
乗せてもらった肩の上は子供の大のお気に入り。
いつもよりも高い景色、その視界には一番星が輝いていた。





「・・・とう、さん」
おぼろげに目を開いたフォックスの目に飛び込んできたのは見慣れた自分の部屋。
窓の外を見ると、朝日が差し込んできている。
そこはいつもの大乱闘の世界が広がっていた。
時間を確認すると朝六時にはまだ少し早いくらいの時間だった。
日付は六月の、第三日曜日・・・。
その日付にフォックスは頭を枕に沈めながら、深く息をついた。
再び眠気が戻ってきてフォックスの瞼が徐々に下がってくる。
怠慢な眠気に身を委ねながらフォックスは昔に思いを馳せる。

(もう、そんな時期になっていたんだ・・・)




その日は梅雨の間の快晴だった。
せっかくの晴れの日曜日、最近長雨で気鬱だったファイター達に特別ボーナスとしてマスターハンドはこの日は大乱闘を休みに決めた。
久々の晴れの日、ファイター達は思い思いに休日を楽しんでいた。
リンクも久しぶりに城の近くを流れる川に浮き釣りに来ていた。
長雨中は川が増水して釣りなど危険で出来ない。
梅雨の時期が過ぎると、流れに乗ってやって来たそれまで見たこともないような大物が釣れることがある。
急流を好むパイクがその日も面白いくらい釣れた。

(晩ご飯のおかずはこれで困らないな)
大漁の魚にカービィやヨッシーが喜ぶ様子が目に浮かぶ。
リンクは釣り餌が無くなったのを確認すると、新しい釣り餌を探そうと立ち上がった。
蜂の巣が無いか顔を上げたリンクの視界に見慣れた姿が映った。

「フォックス・・・」
フォックスは一人、川辺の道を歩いていた。その手には幾つかに束ねられた花が握られている。
フォックスは土手にいたリンクに気付く様子もなく、その場を通り過ぎていってしまう。
いつもと違う様子の親友に、リンクは気になって釣り道具を片付けると後を追った。




フォックスがたどり着いた先は海岸の断崖絶壁の上、崖の先だった。
崖の先には旧式のブラスターが地面に突き刺してあり、トリガー部分には黒いサングラスがかけられている。
フォックスは持ってきた花をブラスターの前に供えた。
潮風が吹いて、備えられた花が風に揺れる。
潮騒の音を聞きながら、フォックスはしばし、その場に黙って立ちつくしていた。


コトン


小さく物が置かれる音にフォックスは我に返った。
ブラスターの前にはフォックスが備えた花の隣に袋に包んだ食料と飲み物の入った瓶が置かれている。
すぐ側にはいつの間にいたのか、リンクが手を合わせていた。
「リンク・・・」
「気になったから付いてきたんだ。これは、俺からの手向けだ」
「・・・そうか、ありがとう」
フォックスの言葉に頷いてリンクはブラスターを見る。

マスターソードのように静かに安置された武器、それが何を意味しているのかリンクにはすぐに飲み込めた。
そして、それがどれほど大事なものかはフォックスの様子が余すことなく語ってくれる。
「・・・大事な、人だったんだな。フォックスにとって」
「父さんだよ。俺の唯一の肉親だった・・・」
フォックスはブラスターにかけてあったサングラスを手に取った。
フレームの付け根部分にJ.Mのイニシャルが刻印されている。
フォックスはその文字にまだ本来の持ち主の体温が残っているかのように撫でさする。
「ジェームズ・マクラウド。初代遊撃隊のリーダーで、パイロットとしても優秀で、正義感も強くて、それでいて優しい自慢の父さんだった」

遊撃隊は実力と成績が物を言うシビアな世界。
その厳しい環境で生き抜き、誇り高く生きていた父・ジェームズは幼いフォックスの目から見ても憧れた。
いつか父のようになりたい、あんな風になりたい、そう思い続けていたフォックスが士官学校を選んでパイロットを目指したのも無理ない話だった。
そして、フォックスが成長して卒業を間近に控えた頃、あの事件が起きた。
「でも、父さんは・・・。俺がパイロットになる前に、死んだ。信頼してた仲間に、裏切られたんだ。親代わりになったペッピーが教えてくれた・・・」
その時の様子はフォックスの記憶に鮮明に残っている。
ペッピーは瀕死に近い状態で命からがら逃げ帰ってきた。
にわかに父の死を信じられなかったフォックスだが、それが嘘ではないことがペッピーの状態と苦渋に満ちた涙が語っていた。
フォックスの手には渡す人がいなくなった新しいブラスターだけが残された。
「・・・皮肉だよな。父さんが亡くなった日、父の日に俺が初めてプレゼントしようとした物が、こうして墓標になるなんてさ」


フォックスの脳裏に今朝の夢の光景が蘇る。
仕事柄、あまり一緒にいられる時間は元々少なかった。
それでも仕事が終わると真っ先にフォックスの所に帰ってきてくれて、肩車をしてくれた。
少し乱れていた息は出来る限り急いで駆けつけてくれた証拠だった。
『ぼく、大きくなったら父さんみたいなパイロットになるんだ。それで、ぼくが父さんを手伝ってあげるね』
肩車してもらいながら、フォックスが初めてジェームズに話した夢。
ジェームズは息子の言葉に優しく笑って答えてくれた。
『だったら、大きくならないとな。父さんよりも・・・』
『うん!!』
きっと、その日が来たときはフォックスの目には今の、肩車をしてもらっている時の景色が当たり前のように見えるのだろう。
幼いフォックスはずっとその日を夢見ていた。


だが、その子供の夢は、無情にもフォックスのあずかり知らぬ所で奪われた。
普段は考えないように、リーダーとして弱みを見せないように頑張っているが、それでもこの時期になるとやはり悲しい。
せめてこの日だけは、ファルコや仲間とも離れて一人でいたかった。

「・・・いいな。フォックスは父さんとの思い出、たくさん持ってるんだ」
「!!」
リンクは遠く、水平線の向こうを眺めている。
海と同じ色をした瞳は、どこか遙か遠い場所を捉えているようだった。
「俺は、父さんの記憶も母さんの記憶もないんだ」
「えっ!?」
意外な一言にフォックスは目を見開いてリンクを見る。
嘘かと思ったが、リンクはそれを察したように困ったように苦笑いする。
そしてばつが悪そうに前髪を掻いた。
「物心付いた頃には、俺は村長の家で世話になってた。家持って自立したのは十歳くらいの頃だった。母さんは俺を産んで体壊したって、父さんはガーディアンとして王家に仕えていたけど、戦乱に巻き込まれて戦死したって聞かされたよ」
リンクの脳裏に独り立ちを初めて間もない頃の光景が浮かんでくる。
その年はいろんな家で新しい命が多く生まれた。
幼いリンクは自分で生活するため、今まで育ててもらった恩を返すためにも率先して子守をして大人達の役に立っていた。
幼なじみのイリアも手伝ってはくれたが、それでも彼女も夕暮れになると父親である村長が迎えに来てくれる。お守りをしていた子供達も親が引き取りに来ると、リンクはいつも一人で家に帰るしかなかった。
成長して剣や乗馬の腕を「父親譲りの腕前だ」と褒められても、リンクは父親を知らない。肉親のはずなのに、全く知らないことが天涯孤独な身の上を表しているようで切なかった。
「だから俺、親父が死んだ日も知らないし、フォックスみたいに墓参りしたこともないんだ」
『薄情な奴だろ?』と問いかけたリンクにフォックスは慌てて頭を振る。
実際、リンクの単独行動さと実力主義的な考え方に多少どういう育ち方をしていたのか疑問に思っていたフォックスだが、それなら頷ける。
リンクは無理するな、と声をかけてそれからまたその景色に視線を向ける。
「でも、今はそれ程寂しくないんだ。ここにはみんながいるし、何よりみんな一緒に生活してる。経験がない俺が言うのも変な話だけど、『こういうのが、家族って言うのかな』って思うんだ。そう思うと親父のこと知らない俺でもすごく懐かしくなる。俺がここが大切なように、親父も俺のこと大事に思ってくれてたのかなって思うと嬉しく感じるんだ」
だからまた元気出せ、とリンクは笑ってフォックスの肩を叩く。
そして、今度は海釣りを始めようとリンクは絶壁を降りて波打ち際まで移動し始めた。

その場に一人残されたフォックスは手にしたままのサングラスに目を落とす。
しばらく眺めていたが柔らかく微笑むと、頷いてブラスターの所に戻した。
フォックスの脳裏に父・ジェームズと過ごした日が走馬燈のように蘇る。
心配されたこと、教えてもらったこと、大事なこと、それらを思い浮かべてフォックスは空を見上げた。
澄み渡った綺麗な大きい空、その景色はいつか肩車してもらったときに見た景色と同じだった。


(もう、泣かないよ・・・。俺は大きくなったから、大事な仲間がいるから、一人前になったから安心して。
父さん・・・)


踵を返しかけたフォックスの耳にリンクの慌てた声が届いた。
どうやら大物がかかったらしい、今にも引きずり込まれそうなくらい釣り糸が張り詰めていてリンクが顔を赤くして足を踏ん張っている。
それを見たフォックスは慌てて助太刀をすべく、リンクの元に急ぐ。



供えた花束が潮風に揺れた。

 

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