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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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最近、ちょっとした物書きスランプです。
いまいち自分の思っているような小説が書けません・・。(うわーん)


メタカビ←デデ、書きたかったんですけど、なんか話が大暴走・・・。
おまけにグダグダ・・・。
駄作注意です。ちなみにちょっとアブナイ要素含んでいるのでR-15くらいです。
15歳未満はお断りです。


それでもOKな方はどうぞ。
あとから苦情は受け付けません。自己責任でお願いします

『Reckless driving of Liberated sword』
(解き放たれた剣の暴走)


「面白いものがございますよ」
その一言につられて取り寄せたもの、それが今回の悲劇の始まりだった。






ホーリーナイトメア社のダウンロードサービスは最早デデデの必須品となっている。
珍しい魔獣、変わった商品、デデデの好奇心を煽るような危険な品物を取り扱うホーリーナイトメア社はいつだって様々な品物をデデデに提供した。
その日もデデデは取り扱い窓口であるカスタマーサービス相手にカービィに対する愚痴を話していた。
『ほう、それは大変で・・・』
「むむむぅ、カービィを大人しくさせるようなあっと言う手はないのかゾイ?」
『大人しくさせる、ですか?倒すのではなく?』
今までとは違う、少し軟化した答えにカスタマーサービスの眉が微かに潜められた。
デデデは散々カービィを倒すための魔獣をダウンロードしていた。
ところが、最近強力な魔獣をダウンロードすることが減ってきている。近頃は特に暇つぶしにしか使わないような芸に一癖あるような魔獣ばかりだ。
カスタマーサービスの言葉にさすがにデデデも言いずらそうに口をごもらせる。
「む・・・、まあ、その、あいつがいなくなったらワシの楽しみが少し減る!カービィはこれからもワシのいじめ相手として有効に活用するゾイ!」
『はあ・・・』
「だが、あいつは手に負えん!何とか大人しくさせる方法はないのかゾイ!?」
デデデの言葉にカスタマーサービスはすっと目をすがめた。
ホーリーナイトメア社の狙いはカービィ、及び星の戦士の抹殺。
表だってそれをやるわけにはいかない為、デデデを利用してカービィを消すつもりでいたが肝心のデデデが若干カービィにほだされてしまったようだ。
(手を打たなければ・・・)
モニター越しにカスタマーサービスはデデデを注意深く見返す。
そして一瞬、ほんの微かに口元を緩めて、ちらりと背後の人物に目配せをする。
背後の人物はカスタマーの言わんとすることを察したのか頷いた。
(では、デデデをまた利用させてもらいましょうか)
『わかりました、陛下。それなら、カービィを大人しくさせるいいものがございます』
「なにっ!?本当かゾイ!?そうとなったら、早速ダウンロードゾイ!!」
椅子に設置させているボタンを押すと転送装置が作動して、ナイトメアからデデデの元へ商品が届けられる。
転送終了後、転送装置に乗っていたのは色鮮やかな液体が入った瓶だった。
早速つまみ上げてみるが、それはデデデが思ったものよりもかなり小さかった。
「こりゃ、なんゾイ?」
『当社の開発した薬でございます』
「クスリ?そんなものでカービィを大人しく出来るのかゾイ?」
『中の液体をカービィにかけなさい。するとまともに動くことも出来なくなります。大人しくさせるにはちょうどいいでしょう』
「・・・ふん、まあ試して効果が出てから金は払うゾイ」
そう言い捨てるとデデデは瓶をしまい込むとその場を後にした。
普段はすぐさま回線を切ってしまうカスタマーだが、その時は黙ってデデデの後ろ姿を見送っていた。
デデデには見せない愛想笑いとは違う嫌な笑いが顔に張り付いている。
『どうぞ、是非ともお試しください。陛下・・・』






部屋から出たデデデはとりあえず、カービィを探す前に小腹が空いたことを思い出し、寝室に届けるよう命令していたおやつを先に摂ることにした。
寝室には鍵が設けられているが、杜撰なデデデがそれを利用したことは一度もない。
鍵を探す素振りもなく、寝室のドアをそのまま開けた。
「んぁ?ぽよ!」
「げっ!カービィ!?・・あああっー!!」
上機嫌でテーブルの上に座っていたカービィにデデデは心臓が飛び上がるくらい驚いた。
だがそれ以上にデデデを驚愕させたのは届けられているはずのおやつがなかった。
その代わりにそこら中に食べ終わった後の皿が散らばっていた。
犯人は言うまでもない、むろん施錠をしっかりしていなかったデデデにも非はあるのだが・・・。
「おのれ~、よくもワシのおやつを・・・」
「ぽえっ!」
「逃がさんゾイ!これでも喰らえ!!」
怒ったデデデに逃げようとしたカービィだがデデデがそれを許すはずはなく、さっき手渡されたばかりの薬をそのままカービィに投げつけた。
投げられた瓶は弧を描いて飛び、カービィに当たった拍子に蓋が取れてしまったのだろうか。液体が溢れて香水のような甘い香りが辺りに漂いはじめる。瓶の中身は全部カービィにかかってしまった。
「ぷぷ、けほっ、けほっ・・・」
「だーっはっはっは!!ちょうどいいタイミングで使えたゾイ、・・・ん?」
薬を被ったときに若干飲み込んでしまったのか、しばらく咳きこんでいたカービィの様子に徐々に変化が現れ始めた。
咳は収まりかけていたが少しずつ荒い息づかいに、そしてカスタマーの説明通り動くこともままならないのか床に手をついたまま動けないようだった。
カービィも突然の体の変化に戸惑いと不安を隠せないのか、ぎこちなく振り返ったその目は涙目で潤んでいた。
甘い匂いのせいなのか、デデデの意識が徐々に朦朧とする。
その目はまるで何かに操られているように虚ろだったが、カービィを捉えていた。




「!!」
廊下を歩いていたメタナイトは不意に悪寒を感じて立ち止まった。
誰かの助けを求める声が聞こえたような、そんないい知れない不安感が胸を埋め尽くすような感覚。
最初は気のせいと思いたかったが、嫌な胸騒ぎは執拗として消えることはなかった。
そして、一番に思い浮かんだのはカービィのこと・・・。
(カービィに、何かあったのか・・・?)
確か昼過ぎにフームとお茶会をする予定だったと聞いていた。現に午前中、その時間が来るまで城の中庭でブンと遊んでいたカービィの姿を目にしている。
きっと今も遊んでいるはず、そう思いたかったが窓から見下ろした中庭には誰もいない。
更にドアが半開きになっていたデデデの玉座の間で転送装置が収納されていないままになっていたことがメタナイトの不安をよりいっそうかき立てた。
(まさか、陛下がまた何か・・・)
玉座の間にデデデの姿はない。
いつしかデデデを探し求めるメタナイトの足は急ぎ足になり、次第に全速力で廊下を駆け抜けていた。


「エスカルゴン殿!」
珍しくデデデから離れて一人廊下を歩いていたエスカルゴンは呼び止める声に振り返った。そして、呼ぶ止めた人物に意外そうに目を見開く。
長くこの城で生活しているが、エスカルゴンがメタナイトに呼び止められたことなど初めてかも知れない。
「な、何でゲスか?メタナイト」
「陛下はどちらに?」
「陛下?さあ、またいつものホーリーナイトメアの通販でゲショ?」
「玉間にはおりません。他に思い当たる場所は?」
「通販でないなら、そろそろおやつ時でゲスから陛下のお部屋くらいでゲスかねぇ・・・」
「部屋・・、っ!」
それだけ聞くとメタナイトはさっと踵を返してデデデの寝室へと急ぐ。
「あっ!ちょっと、どうかしたんでゲスか?メタナイト・・・」
呼び止めようとしたエスカルゴンだが、メタナイトはもう姿が見えなくなってしまった。
普段落ち着いた彼にしては珍しい行動。
なにやらデデデに用事があるようだが、忠誠心の薄い彼のこと、何かありそうだとエスカルゴンは感じ取った。
(ちょっと様子を見た方がいいかもしれないでゲスな・・・)



エスカルゴンと別れてから、デデデの部屋にメタナイトが着いたのは数分後だった。
扉は閉じている。
しかし、警戒心が薄く大雑把なデデデの事、鍵などかけているはずがないことはメタナイトも承知の上。
迷うことなくドアノブに手をかけるとドアはあっけなく開いた。
「陛下、失礼いたします」
一言断りを入れ、臣下よろしく頭を垂れる。
すると、ぎょっとしたデデデの声が耳朶に届いたが、聞こえたのはそれだけではなかった。
子供の泣きじゃくる声、その声はメタナイトにとって聞き慣れた声だった。
「ひっく、ひっく・・・、め、た・・・?」
(!!カービィ)
思わず顔を上げてしまったメタナイト。
その途端、その場の空気が止まってしまったかのようにメタナイトの耳には何も届かなくなった。
目の前ではデデデが慌てふためいてなにやら訳のわからないことを懸命に叫んでいる。
だが、メタナイトの目が捉えていたのはベッドの上に転がされ泣きじゃくっている子供の姿だった。
彼が、メタナイトが何よりも大事に守り愛した子は、小さく身をかがめて目を固く閉じて涙を流していた。
「・・・!!」
一瞬の静寂、それを打ち破ったのは剣の鞘走る音だった。





「陛下、ご機嫌いかがでゲス・・・」
「でででででーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
「わあああああああああああ!!!へ、陛下!!」
一足遅れてデデデの部屋にやって来たエスカルゴンはノックしようとした矢先、部屋から飛び出してきたデデデに押しつぶされるような形になってしまう。
「何でゲスか、陛下。早くのいて欲しいでゲス、人一倍重いんだから・・・もう」
「そんなこと言っている場合ではないゾイ!!ワシが殺される!!」
「何寝ぼけてるんでゲスか!?人を潰しておいて、寝言は寝てから言って欲しいで・・・」
「寝言ではないゾイ!奴は本気でワシを殺すつもりゾイ!!」
「殺す?こんな平和ボケした国のどこに陛下を殺すなんて奴が・・・」
エスカルゴンが言いかけたその時だった。

ズバッ!!!

「「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!」」
デデデの部屋から飛んできた衝撃波が二人の頭をかすめて、背後の柱を直撃した。
柱は真っ二つに切り裂かれていた。生身ではひとたまりもない威力だった。
鋭く剣を振る音が部屋からデデデ達のいる方へと向かってくる。
エスカルゴンが見たのは、剣を手にした見慣れたこの城の騎士。
「め、メタナイト!!これはいったい何のつもりでゲスか!!」
「・・・今まで耐えて仕えてきたが、もう許せん。デデデ大王、その首もらい受ける!!」
メタナイトがマントを広げると、なんとマントは蝙蝠の羽根へと変じた。
その先は最早エスカルゴンの目には止まらなかった。
一瞬でメタナイトが消えたかと思うと、いつの間にかデデデの背後に回り込んでいて剣を振りかぶっていた。
「ぎゃああああああああああ!!!!」
「っち!」
何という悪運強さ、振り上げられたギャラクシアに肝を潰したデデデが腰を抜かしてその場に崩れ落ちたせいで、メタナイトの剣はデデデではなく空しく宙を切り裂いた。
すぐに目標を捉えて斬りかかろうとしたメタナイトだが・・・。

「メタナイト卿!デデデ!!」
「卿、一体何を!!」
「お止まりくださいませ、卿!!」
「っ、フーム。ソード、ブレイド離せっ!!」
騒ぎを聞きつけてやって来たフーム、そしてソードとブレイドがメタナイトを抑えにかかる。
その隙にフームは腰が抜けたデデデとエスカルゴンの元に駆け寄って訳を聞き出そうとしていた。だが、一刻も早く逃げたいエスカルゴン達はすぐさま逃げようと走り出した。
それを見逃すメタナイトではない。
「逃さんぞ!!」
「「うわっ!!」」
翼で抑えていたソードとブレイドをはじき飛ばすと、神速の速さでデデデに迫る。
追いつくのはあっけないほど簡単だった。
通路の先を追い越して塞ぎ、剣を構えて再びデデデに向かって斬りかかった。
今度こそ、絶体絶命かと思われた。その時・・・。

「へ、陛下!!ワドルディ達よ、陛下をお守りしろー!!」
城中の者全てがこの騒ぎを聞きつけたらしく、ワドルドゥの指揮で無数のワドルディ軍団が押し寄せてきた。
あっという間に通路はワドルディで埋め尽くされ、動くこともままならない状況になった。
「おおっ!ワドルディ達が!!ワドルドゥ隊長、良く来てくれたゾイ」
「陛下、ここは我らが防ぎます!陛下はお早くお逃げを!!」
「陛下急ぐでゲスよ!!」
「でも、メタナイト卿が・・・」
フームはワドルディで見えない通路の向こうを振り返る。
訳がわからないことだらけだった。一体何が起こったのだろうか。出来れば、デデデではなく彼の口から真実を聞きたかった。
立ち止まりかけたフームの手をソードが取ってデデデの後に続いた。
「フーム様、今は陛下と共に逃げましょう」
「でも、メタナイト卿を置いていくなんてこと・・・」
「先に陛下から事の顛末を語っていただくのがよろしいでしょう。・・・今の卿は、我らでも抑えきれません」
最後のブレイドの言葉にソードも頷いた。
気のせいか握られたソードの手が震えている。
フームは沸き上がる疑問を胸に留めたまま、今はデデデの後を追って逃げるしかなかった。





大臣夫妻を巻き込むわけにはいかないというソードとブレイドの言葉に従って、一同は大胆にも空室になっていたメタナイトの部屋に逃げ込んだ。
この部屋なら隠し通路が幾つか設置されているし、モニターカメラで様子も多少見られる。そして何より彼自身の部屋と言うことが最大の盲点だった。まさか、殺されかけている人物が寄りによって自分の部屋に逃げようと考えるとは思っても見ないはずだった。
無事に逃げこんで一息付けた所で、フーム・エスカルゴン・ソードとブレイドによるデデデへの尋問が始まった。
「デデデ、あなた一体何をしたの?」
「最初はメタナイトのクーデターかと思ったでゲスが、こ奴らが知らないとなるとメタナイトの単独犯のようでゲスが・・・」
「卿は決して短慮を起こされるようなお方ではありません」
「卿のお怒りは尋常ではありません。陛下が何かなさったはず、包み隠さずお話しください」
話さないと今にも部屋から追い出しかねないほどの四人の剣幕に、四面楚歌の状態になったデデデは為す術もない。
最初は「臣下の問いに答える必要はないゾイ」など、虚勢を張って誤魔化していたが、ソードとブレイドに「言わなければ、卿の御前に引っ立てる」と脅されて渋々ながら今までの顛末を語りはじめた。

「カスタマーからの薬をカービィに使ったら、カービィの様子がおかしくなって、何故かワシまで・・・」
艶めかしい色香を帯び始めたカービィに我慢が利かなくなってしまったのだという。
元々カービィの特殊な体に疑問を感じていたデデデは最初、「調べるだけ」と思っていた。
だが、それだけに止まることは出来なかったのだ。
徐々に行動はエスカレートして、気がついて我に返ったときにはもう全ては終わっていて、カービィは泣きじゃくって動けなくなっていた。
そこにちょうど現れたのがメタナイトだった。
必死に弁明をしようとしたが、メタナイトにはデデデの言い訳など届かなかった。
デデデがカービィに乱暴したこと、それだけでメタナイトは怒りに我を忘れた。

「っ!!なんてひどい!!カービィはまだ子供なのよ!!ひどすぎるっ!!」
「陛下、メタナイトの怒りはもっともでゲス。それは人として最低でゲスよ」
「うるさいうるさいうるさーい!!ワシは大王ゾイ!ワシもカスタマーサービスの被害者ゾーイ!!」
フームとエスカルゴンに責められてついにデデデが逆上した。
だが、二人の視線は相変わらず冷めたまま、同情の気持ちなどはカケラもこもっていない様だ。
明らかにメタナイトの方が自分よりも重く見られている、そう感じたデデデは最終手段に出ることにした。
「こうなったら、大王のワシに刃向かったメタナイトは最早反逆者ゾイ!反逆者は処刑するゾイ!!」
「処刑すると言っても、陛下。誰がやるんでゲス?メタナイトに勝てる奴がこの城にいるんでゲスか?」
エスカルゴンの指摘にデデデは言葉に詰まる。
だが、すぐに部屋の隅で大人しくしていたソードとブレイドに目を付けた。
「お前達二人!二人でかかればメタナイトでも叶うはずないゾイ!!」
「ソードとブレイドはあなたの家来じゃないわ。メタナイトの部下よ」
「臣下のものは全て大王のものゾイ!!ほれ、お前達早く行くゾイ!!」
フームの指摘も退けてデデデはソードとブレイドに命令する。
だが、ソードとブレイドはその場から一歩も動かず、じっと手を握りしめたまま微動だにしない。その視線はデデデを映そうとはせず、じっと足下を見ていた。
「何をしておる!!早く行くゾイ!!」
「・・・陛下、それ以上我らに話しかけないでいただきたい」
「なんじゃとおっ!!」
ソードの言葉に眉をつり上げたデデデだが、ブレイドがソードの言葉を引き継いで続けた。
「我らは卿の絶対なる臣下。陛下のご命令でもそれだけはお受けいたしません。それどころか・・・」
「あなた様は卿の一番大事なものを、カービィ殿を傷つけたのみならず、卿のお心と志まで傷つけました。我らとしても、あなた様をお許しできないのです。むしろ・・・」
いったん言葉を切るとソードとブレイドは顔を見合わせて頷き合った。
そして帯刀していた剣を鞘ごと取り外してデデデの目の前に差し出す。
「「この剣であなた様をお切りして、メタナイト卿に差し出すつもりでさえおりました」」
「・・・気持ちはわかるわ。でも、駄目よ」
そう言ってフームは差し出された二人の剣を預かった。
フームに押しとどめられてソードとブレイドは肩を落とす。
だが、エスカルゴンは二人が壁に掛けてある昔の武器にちらりと視線を投げたのを見逃さなかった。
「むむむ~~~、ならば城のワドルディ全部を投入して人海戦術で・・・」
「・・・へ、陛下」
ドアの向こうからワドルドゥ隊長の声がした。
どうやらあの騒ぎの後、一人デデデの安否を心配してここを突き止めて来たようだ。
ソードとブレイドが部屋の鍵を開けると、傷だらけになって無惨な姿になったワドルドゥが部屋に転がり込んできた。
「わ、ワドルドゥ隊長!!一体どうしたでゲス!?」
「申し訳ありません、エスカルゴン閣下。私どもも懸命にメタナイト卿をお止めしようとしたのですが、我らとは桁違いの強さでした。城内のワドルディ兵士は皆、戦闘不能です」
「なんじゃとおっ!!」
「ちょっ、カメラで調べるでゲス。・・・あああっ!!」
モニターを映し出したエスカルゴンは城内の光景に唖然とした。
無数のワドルディ兵士が廊下の至る所で傷を負って倒れている。致命傷は避けていたおかげで命は無事のようだが、戦える状態のものは一人もいなかった。
「こ、これ全部メタナイト卿が一人で・・・?」
凄惨な光景にフームは言葉を失った。
かつて星の戦士だったとはいえ、何千もいる武装したワドルディ兵士を一人で倒した事実はフームが知る普段の思慮深く冷静なメタナイトとは似ても似つかなかった。
モニターカメラの一つにメタナイトの姿が映っていた。
おそらくデデデを探しているのだろう、抜き身のギャラクシアを携えたメタナイトはまるで抜き放たれた剣のような危うさを持っていた。
「くっそーーーーーーーーーー!!ならば、ホーリーナイトメア社に責任を取らせるゾイ!!」
「責任取らせるってどうするつもりでゲス?・・・!まさか、魔獣にメタナイトを倒させるつもりでゲスか!?」
「ええっ!」
「「なんと!?」」
本気でメタナイトを倒す事に踏み切ったデデデにフームもソード・ブレイドもデデデを止めにかかる。
「何バカなこと言ってるのよ!!いつも魔獣で迷惑かけるのはデデデの方じゃない。なのにそれでメタナイト卿を倒すつもりなの!?」
「元はと言えば陛下が事の発端です。卿には何の罪もありません!!」
「ましてや害のある魔獣を呼ぶとは、更に害を増やすようなものです!!」
「黙れっ!!これ以上、メタナイトを放置してはワシも皆も身動きが取れんゾイ!!危険因子はさっさと取り除くゾイ!!」
そう言うが、デデデは隠し扉の一つ、玉間に繋がっている通路へと入り込んで向かってしまった。






騒ぎが起こった廊下は倒れているワドルディ以外、誰もいない。
ワドルディには至る所に切り傷が刻まれている。それがあまりにも痛々しかった。
痛さにうめいたワドルディの一人を悲しげに見つめる瞳があった。






玉間では転送装置はそのままの状態で置いてあった。
デデデはメタナイトがいないのを確認すると素早く回線を繋ぐ。
するとそれを待っていたかのようにカスタマーサービスがモニターに映った。
『おや、陛下。いかがでしたか?お試しになった薬の効果は・・・』
「あれのおかげでこっちは死ぬところだったゾイ!!慰謝料として今すぐ超強力な魔獣を送るゾイ!!」
『はて?死ぬとは物騒な、そんな薬ではなかったはずですが』
「メタナイトがあれのせいで暴走したんだゾイ!早くメタナイトでも倒せるような魔獣を送るゾイ!!」
『ほお、メタナイトを・・・』
そう呟いたカスタマーサービスの頬が緩む。
最初はカービィに精神的なダメージを与える程度にしか考えていなかったが、思ったよりも計画はいい方向に発展したらしい。
カスタマーサービスはデデデに悟られないように、すぐにいつもの調子でもっともらしく反応する様子を見せた。
『それはそれは・・・、お得意様の一大事とあれば当社も選りすぐりの魔獣をご用意します』
そして転送装置から次々と強力な魔獣が送られた。
ファーライオン、クラッコリベンジ、ガメレオアーム、数え切れないほどの強力な魔獣で玉間は次第に埋め尽くされていく。
ものの数分後には玉間に超強力魔獣が雁首を揃えていた。
「だははははは!!これでメタナイトもひとたまりもないゾイ」
「デデデ、いい加減にしなさいよ!!ひっ!!」
「どひゃー!陛下、これ全部・・・」
デデデの後を追いかけてきたフーム達はモンスターハウスさながらのその場の光景に目をむいた。
醜悪な魔獣は獲物が来るのをいまかいまかと待ちかまえている。
その時、勢いよくドアが開いた音がその場の静寂を打ち破った。
入り口に立っていたのは・・・。

「「メタナイト卿!!」」

主の姿にソードとブレイドが声をあげた。
だが、その姿は二人がいつも見慣れた威厳のあるメタナイトではなく、仮面の奥の瞳は黒く表情が伺えない。
「来たな、メタナイト。ワシに刃向かった罪で魔獣による大処刑ゾイ!!かかれぃ、者ども!!」
デデデの号令で魔獣達は一斉にメタナイトへと向かっていく。
だが、メタナイトは微動だにしないままギャラクシアを頭上に高く掲げた。
すると一陣の風がギャラクシアにまとわりついて、それが徐々に大きな渦となっていく。
肉眼でも見えるほどの渦となった風はやがてメタナイトも包み込み、巨大な竜巻へと変化していく。

ゴゴゴゴゴ・・・

凄まじい轟音と共に竜巻が玉間の魔獣全てを飲み込み、破壊していく。
竜巻は魔獣だけでなく、玉間の至る所を切り刻むように破壊していった。
あまりの強力さに安全な場所に避難していたフームは震えが止まらなかった。
「何なの、あの竜巻・・・」
「卿から以前、聞いたことがあります。あの技は確か、『マッハトルネード』」
「マッハトルネード?」
ソードの説明に聞き返したフームに、ソードとブレイドは頷いた。
「卿の最強の必殺技です。我々も話しに聞くだけで目にしたのは初めてです」
「ギャラクシアの剣戟と風によって全てを巻き込み破壊する究極の技。その技のもたらすあまりの破壊力の大きさに、卿自ら封印した技だと聞いております」
竜巻は全ての魔獣を飲み込むと、跡形もなく消してしまう。
見ると聴くでは大違いのその技に、ソードとブレイドはメタナイトの怒りの程が伺えるようだった。


竜巻が消えると玉間は瓦礫の山と化していた。
あの騒ぎの中でも無事だったらしい、デデデが瓦礫の中からはい出してきた。
「はあ、死ぬかと思ったゾイ・・・」
「その通り」
「げげっ!!」
「デデデ、メタナイト卿!!」
「陛下!!」
顔を上げたデデデの目の前ではメタナイトがギャラクシアを振りかぶっていた。
何とか止めようとしたフームとエスカルゴンだが、瓦礫のせいで思うように進めない。
デデデは怯えてすっかり動けなくなってしまったようだった。
「私の必殺技から生き延びるとは、よくよく悪運の強い奴だ。だが、これで終わりだ。死ねっ!!」
ギャラクシアが光を帯びる。
この距離でソードビームを喰らえば、誰も逃れられない。
デデデは思わず目をつぶった。





「ぽよっ!!」




とんっ、と軽くぶつかったような感覚がしたと同時にメタナイトに抱きついてきたものがあった。
それは、小さくて優しいメタナイトが何よりも大切にしていた宝物・・・。
「・・・カービィ?」
「ぽよぅ」
ようやく正気を取り戻したのか、メタナイトの瞳がいつもの黄色に戻った。
すんでの所で飛び込んで止めたのはカービィだった。
カービィはまだ若干フラフラしていたが、それでも首を振ってメタナイトの手を抑える。
「ぽよ、ぽよよう、ぽよぽよ・・・」
「もうやめろというのか、私に剣を納めろと・・・?」
「ぽーよっ」
「だがっ!!」
話している隙に逃げようとこそこそしていたデデデをメタナイトは睨みつける。
その鋭い眼光を真っ正面から受け止めたデデデは蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまった。
「そなたをこんなに傷つけた奴を、私は許すことなど・・・」
「めたないと、ぽよぽゆ・・・」
カービィはメタナイトのギャラクシアが握られた手を撫でさする。
その手に向けられた視線は悲しそうに伏せられていた。
カービィがメタナイトに言いたいのは復讐をやめて欲しいのではなく、これ以上メタナイトの心が荒れてしまうことを止めて欲しかったのだ。
普段のメタナイトは殺戮や暴力を決して喜びはしない。
だから、これ以上暴力を振るって後で傷つかないように早くに止めたかった。

「ぽよ、ぽよいぃ・・・(だから、もうやめて)」

「カービィ・・・。っ、そなたが、それを望むのなら・・・」
その言葉と共に、メタナイトはギャラクシアを鞘に収めた。
そしてメタナイトはまだフラフラしているカービィを抱き上げると医務室へ向かう。
当面の危機は去ったのだ。
デデデは呆然として二人の後ろ姿を見送っていた。


「・・・助かった、ゾイ」
「カービィに助けられたわね、デデデ」
「ほんと、カービィがいなかったら今頃陛下は消し炭になってたでゲスよ」
「それはそうとデデデ陛下。このたびの騒動は全て陛下が原因、また鎮静させたのも陛下ではありませんので・・・」
「此度の一件は全てなかったことにして、メタナイト卿には何のおとがめもなきようお願いいたします」
端から見れば、事故処理のアフターフォローにしか聞こえないフーム達の言葉だが、裏を返せば、『表沙汰に取り締まれば、デデデのやらかした事を全て白日の下に曝す』と言うことを暗に秘めていた。結局その場はデデデが折れるしかなかったが、これでめでたしめでたしと言うわけにはいかなかった。




後日、デデデの手元に魔獣配信料、ワドルディ達の治療費、城の修理費などの莫大な額の請求書が届けられ、デデデの悲鳴は村中に響き渡った。
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