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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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週末に集計取りました、特別リクエスト作です。

>メタカビ、メタやきもちネタでツキルちゃん参加。

↑という、おっそろしくも楽しい嬉しいリクエスト頂きました。
だって、メタのやきもちっていったら殆ど暴走に近いし・・・(昔それで失敗したくせに)
そんなわけで、暴走の一歩手前、冷静だけどドS判断思考なメタで仕上げました。(アニメ初期版)

これがどんどん暴走していって執着がハンパなくなって、独占欲の塊になるのか・・・(遠い目)



こんなものでよろしければお受け取りくださいませ。
なお、お持ち帰りはリクエストされました方のみになります。

『The flame of envy is an ultramarine. 』
(群青色の嫉妬の炎)

 

久しぶりにポップスターを訪れたナックルジョーはカービィと一緒に、新しくプププランドの住人になっていたツキルの所で遊んでいた。
肉弾戦派であるジョーにとってツキルの扱う魔法は未知の分野、見るもの全てが目新しくてジョーは好奇心に目を輝かせていた。
魔法の本、魔法の箒、魔法の薬、棚に置いてある全てのものをジョーは飽きることなく見てはツキルに聞いている。
「なあ、これはなんだ!?」
「それは占いのお香だよ~。でも、ナックルジョーって本当に感じのいい子だね、カービィ」
「ぽよっ!」
ツキルの言葉にカービィは嬉しそうに笑って頷いた。
ツキルも最近はみんな慣れっこになってしまって、今時ツキルが魔法で何かしても驚いたりしないがナックルジョーはいたくツキルの能力に感動して、絶えず尊敬の眼差しをツキルに向けている。
その眼差しと賛辞をツキルはまんざらでもない様子で、にこにこと笑顔で聞いている。
「こんなに沢山の薬、ツキル一人で作るのか!!すごいな、お前天才だな!!」
「やだなあ、もうっ、ナックルジョーは褒めるの上手なんだから~!!特別に好きな薬、一個プレゼントしちゃうよ!!」
「いいのか!?じゃあさ、疲労とか痛みに効く薬ってあるか?」
ナックルジョーのリクエストにツキルは「もちろん」と笑顔で請け負う。そして、一番上の戸棚から青色のスプレータイプの薬を取りだしてナックルジョーに渡した。
「これ。痛いところに吹き付けたら一発で痛みも疲れも吹っ飛んじゃうよ!異常が無くても、ひんやりする効果があるからクールダウンにもいいんだ~」
「へえー!!」
「ぽよぉ~」
感心したようにナックルジョーは手渡された薬を見る。カービィも興味深そうにナックルジョーの薬を覗き込んだ。
興味津々なカービィにナックルジョーがにやっと笑う。
「試してみるか?カービィ。うりゃっ!」
「ぱゆっ!!・・・ぽおよっ、ぽよっ!!」
ナックルジョーがカービィに試しに薬を吹き付けてやると、その感触がくすぐったかったのかカービィはちょっぴりいやいやする様子を見せた。
まんざら嫌そうでもないその様子にツキルもナックルジョーも、ついからかって遊んでみたくなる。
「おっ!カービィ、気に入ったのか?よし、もっとかけてやろ!」
「まだまだ在庫はあるよ~!!カービィ、覚悟~!!」
「ぽゆえっ~!!」
ツキルの部屋で逃げ回るカービィとそれを追い回すツキルとナックルジョーで鬼ごっこが始まった。最終的にベッドの上に逃げたカービィをナックルジョーが飛びかかって押さえつけて捕まえる。
「ぱ~ゆ~!!」
「へへっ!捕まえた!!カービィ、覚悟しろよ!!」
「ジョーやっちゃえ~~!!」
すっかり調子に乗ってハイテンションになったナックルジョーとツキルは遊ぶのに夢中になって、ドアのノックオンに気がつかなかった。


「ツキル、陛下がまたそなたの薬を寄こせと言って・・・」


ノックしても返事がないのでドアを開けたメタナイトはその光景に思わず、声を失った。
一緒にいたナックルジョーがカービィをベッドに押さえつけている。
第三者から見たらまさにお取り込み中に見えただろう。
突然その場に現れたメタナイトにツキル、ナックルジョー、カービィの顔が一気に張り詰めたものへと変わる。
「め、メタ卿!!あ、あのねっ!!これは違うの!!ちょっとカービィと遊んでいて、アクシデントというか、なんというか・・・!!」
「そ、そうそう!!俺は別にカービィに変なことしようとしてた訳じゃ・・・」
必死で取りなそうとするツキルとナックルジョーだが、メタナイトの視線はカービィを捉えて離さない。
カービィは今し方の光景をメタナイトに見られた事で恥ずかしさのあまり放心している。
やがて、メタナイトはすっと目をすがめると何も言わずカービィから踵を返した。

(あ・・・)
「・・・すまない。せっかくの楽しみの所を邪魔したようだ。また、時間を改めよう」
そう言い残すなり、メタナイトは振り向かずにツキルの部屋を後にしてしまう。
足早に出て行ってしまうメタナイトを追いかけるようにカービィは慌ててベッドから起き上がって、その背中に声をかける。
「ぽよっ!!ぽよぽゆっ!!(メタ、待って!!)」
いつもメタナイトはカービィの言葉に逐一反応してくれる。だが、メタナイトは振り向かずに暗い廊下を黙って行ってしまう。
カービィは頑張って走って追いつくと、メタナイトのマントを掴んで引っ張った。
「ぽようっ、ぽよぽよぱあゆっ!!(違うの、ぼくの話を聞いてよ!!)」
「・・・無理することは無いだろう」
「ぷえ・・・」
振り返ったメタナイトの目は喜怒哀楽のなんの感情も読み取れない。
メタナイトは強くマントを払うと掴んだカービィの手を無理矢理振り払う。
「そなたの好きなようにするがいい。もうお前は戦士として一人前だ。私がいなくても充分やっていけるだろう。・・・自由に、幸せにな」
「っ!!」
メタナイトはそれだけ言い残すと、一度も振り返らずにその場を立ち去って行った。




(これで、良かったんだ・・・)

部屋に戻って椅子に深く腰掛けながらメタナイトは自分に言い聞かせた。
元々、戦士団で生き残ったのも、この星に流れ着いたのも、いずれ来るカービィを見届け、成長の手助けをするためだった。
全ては彼が成長するまでの役目、それさえきちんと終えれば後はカービィの生きる道、全ては自由だ。
だから、カービィが誰を選んで愛そうとメタナイトにそれを指図する権限はない。

(私は・・・、カービィが幸せでいてくれれば、それで・・・)

それでいい、と思おうとした。しかし、その言葉を思い返す度、胸の奥にチリチリと燻るような胸のざわめきを感じる。今まで感じたこともない感覚にメタナイトは必死で自我を抑える。
だが、沸き上がる感情、嫉妬という醜い執念はいくら抑えても炎のように絶えず燃え上がる。
(駄目だ・・・。抑えろ、私はあの子さえ幸せでいてくれたら、それで・・・)


ドンドンドンドン!!


必死で自我を抑えていたメタナイトはドアを激しく叩く音に我に返った。
叩く音に混じって、ドアの向こうから必死なツキルの声が聞こえる。
「メタ卿!!いるんでしょ!!開けて!!」
「・・・ツキルか。私になんのようだ?」
ドアを開けたメタナイトにツキルは咳きこみながら問い詰める。
「こっちにカービィ来てない!?カービィ、どこにもいないの!!」
「来るはず無かろう。ナックルジョーかフームの所ではないのか?」
ツキルはその言葉に激しく頭を振った。
そして今にも泣き出しそうな顔で続ける。
「違うの!!カービィ、あの後どっかに走って行っちゃって!!フームの所にもジョーの所にも戻ってないの!!地下の方に行っちゃったから、メタ卿の所かと思ったんだけど・・・」
「なにっ!?」
地下、と聞いてメタナイトの目の色が変わる。
地下はデデデの趣味で作ったトラップや特製攻撃用ロボットなど、数え上げればきりがないほど危険なもので満ちあふれている。迂闊に足を踏み込めば、命の保証はない。
ツキルはもがくように地団駄を踏んだ。
「あーもー、どうしよう!!もし、地下にいるんならツキルにはわかんないよ!!探しに行けないじゃん!!」
ツキルの言葉にメタナイトはギャラクシアの鞘を握りしめる。
そして、地下牢へと走り出した。
「メタ卿!!」
「地下へは私が行く!!ツキル、そなたは陛下を見張れ!!もし、陛下が地下の罠を作動させたらカービィが危ない!!急げ!!」




「っく、っすん、すんっ・・・」
地下水路の横道に座り込んでカービィは一人丸くなって泣きじゃくっていた。
デデデに無理に決闘をさせられたときも辛かったけど、今回は本心からいらないと言われて手を振り払われた。
もう、いつもの優しい手も優しい眼差しも優しい声も終止符を打たれてしまったのだ。
そう思うと悲しくて涙がぽろぽろとこぼれてくる。
帰りたくなくて、またメタナイトに無視されるのが怖くて、カービィはその場にうずくまった。
時々、切なくなってクルルとお腹が泣き声を上げる。
いつだったか、前にもお腹がすいて立ち上がれずに座り込んだときがあった。


『仕方のない奴だ。ほら・・・』


その時も、メタナイトは黙ってカービィに背中を貸しておぶってくれた。部屋に付いた後で食べさせてくれたホットケーキがとてもおいしかった。
「めたぁ・・・」
メタナイトのことを思い出してカービィはしゃっくりをあげる。
もう嫌われてしまったはずなのに、心のどこかでカービィはまたいつものようにメタナイトが迎えに来てくれるんじゃないかと期待していた。


ゴゴゴゴゴ・・・・


「ぽよ?」
水路の奥から聞こえた大きな音、気になったカービィが顔を上げると勢い付いた鉄砲水が押し寄せてきている。おそらく、城内で大量に流した水が地下へ流れてきたのだろう。
「ぱあゆっ!!」
押し寄せてくる濁流にカービィは慌てて通路の奥へと逃げた。
塞がれていた金網の柵を外して、地下の広い空間に出る。
すぐ横に立っているのは巨大なデデデの銅像だ。
それを見上げたカービィに嫌な思い出が蘇る。
(たしか、これって・・・。前に遊園地だったときに・・・)
その時に襲いかかってきたデデデ像と全く同じものだった。
今回もしかり、センサーでカービィを関知したデデデ像はひとりでに動き出す。
そしてカービィめがけて襲いかかってきた。
「ぷええっ!!」
踏みつぶそうと襲いかかってくるデデデ像からカービィは必死に逃げる。
だが、お腹もすいている上に吸い込めそうなものもない。
更に泣きっ面に蜂と言うべきか、隠しトラップのトラバサミに足を挟まれてしまって身動きが取れなくなってしまった。
「ぽよっ!!ぽおよっ!!」
慌てて足をじたばたさせて外そうと試みるカービィだが、鉄製で頑丈なトラバサミはそう簡単には外せない。
その間にもデデデ像はカービィに迫ってきていた。
デデデ像の影がカービィに覆い被さる。
その恐怖にカービィはぎゅっと目を瞑った。
目を瞑った瞼の裏に、以前デデデ像から助けてくれたメタナイトの姿が浮かんだ。
(めたっ!!)


ズバッ!!


その場に鋭い剣戟音が響いた。それから一瞬間を置いて重いものが倒れる音がする。
カービィはおそるおそる目を開いた。
目の前にいたのは金色に光る剣・ギャラクシアを手にしたメタナイトだった。
その後ろでは半分に切り離されたデデデ像が倒れている。
「め、たぁ・・・」
「こんな所で何をしている。ここは危険だから来るなとあれほど言ってあっただろう」
珍しく厳しい声で叱ってくるメタナイトにカービィは思わず身をすくめる。
メタナイトはその様子にため息を付くと、黙ってカービィの足のトラバサミを破壊した。
そして、ギャラクシアを鞘に納めて踵を返す。
「・・・行くぞ。こんな所で潰す時間が惜しい」
「ぽよう・・・」
「っ、!」
マントを引いて引き留められる感覚にメタナイトは胡乱げに後ろを振り返る。
だが、引き留めたカービィを見てぎょっと身を引きつらせた。
カービィは、大粒の涙をこぼして首を横に振る。

「ぽよぽゆ、ぽよぽよ、ぽよゆい・・・、ぱあよ。
(行かないで、怒らないで、ぼくのこと嫌いにならないで・・・、お願い)」

そのまま泣きじゃくるカービィにメタナイトは何も言わなかった。
黙ってそっと手を差し伸べる。
そして、カービィを抱きかかえるともと来た道を引き返し始めた。



「カービィ、そんなところにいたんだ!本当にありがとう、メタ卿」
とりあえず一番近くにあったツキルの部屋に運んだメタナイトはツキルのベッドで横になっているカービィに視線を向ける。
トラバサミの怪我を治すために薬を飲んだから、今は副作用で眠っていた。
ツキルは眠っているカービィの頭をそっと撫でた。
「あのね、メタ卿。カービィはメタ卿のこと、本気で大好きなんだよ。さっきのは本当にアクシデントだったんだ。だから、許してあげてよ」
「ああ・・・」
言葉少なに呟いた言葉にツキルはほっと胸をなで下ろす。
そして、カービィの見張りをメタナイトに任せて隣の調合室で新しい薬の調合に取りかかった。
メタナイトは眠っているカービィにそっと触れると、その唇に口付けを落とす。
柔らかくてあたたかい、穏やかに眠っているカービィにメタナイトは思わず手で顔を覆った。
(何が、この子が幸せでいたらいいなどと、えらそうなことを口にしたものだな・・・)



こんなにも愛して、こんなにも愛おしくて、切ないほど狂おしいほどに入れ込んでいるのに。
誰にも渡したくない。誰にも触れさせたくない。その思いだけで精一杯なのに・・・。

(・・・私も、落ちぶれたものだ)

自嘲気味に笑って、メタナイトは今一度カービィに口付けた。
口付けたメタナイトの口端がつり上がった。



まるで、『もう何人たりとも、カービィを自分から奪い取ることなどさせない』。
そう言うかのように・・・。
 

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