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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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スマブラ小説シリーズの番外編リンゼルです。


なんで番外編って言いますと、喧嘩シリーズと銘打っておきながら、喧嘩らしい喧嘩シーンがないからです。
姫様には底抜けに甘いリンクだから、姫様がいくら怒っても喧嘩しかけてもすぐにニコニコして「ごめんなさい」で済ましてしまいそうなので・・・。
(結果、リンクの毒気無し笑顔&性格上の寛容さも相まってそれ以上怒れないと)


でも、本当にやっぱりゼル伝、リンゼル大好きなので、愛情に比例してものすごく長くなってしまいました;;
前半部分かなり長いので細かいところや書きたいところもかなり端折ったんですけど、それでも長い!!
実は今日の分でようやく半分です(ええー!!)
それでも最初予定していた長さの1/4の長さ。(どんだけ長いんだ)


リクエストがカビやスマブラが多いのも理由のひとつなんですけど、これだからなかなかゼル伝小説書けないんですよ;;

『It is not possible to love even if it loves.』
(愛していても愛せない)



「・・・・・これはどういう訳だ?」

いつもよりも二オクターブ近く低い声でリンクが話しかける。
リンクの目の前にいるマルス、ピーチ、デデデはリンクの纏うオーラにすくみ上がって身動きが取れない。
助けを求めるようにマルスがリンクの背後にいるゼルダに視線を泳がせる。
ゼルダは気遣わしげに何度もマルス達、そして側にいるリンクを交互に見ていた。
ゼルダの美しい目が伏せられる。
その表情は愁いをたたえていた。
話は数時間前に遡る。



元々のことの始まりは先日、城下で行われた結婚式だった。
梅雨が明けたばかりの一番爽やかな季節、どこから伝わったのかはもう誰も覚えていないが、この時期に結婚して結ばれた夫婦は幸せになれると言われている。
華やかなウエディングドレスに身を包んだ花嫁姿は女の子の永遠の憧れ。
それは女性ファイターも例外ではなく、女性陣は全員結婚式の観覧に繰り出していた。
しかし、一人だけ例外がいた。
「ゼルダ姫?どうしたの、みんなと行かなかったの?」
大乱闘後、部屋に戻ろうとしていたマルスの目に出かけていったピーチ達を見送るゼルダの姿が留まった。
ゼルダはマルスの言葉に困ったように笑う。
「ええ、私はあまり・・・」
「興味ないの?そんなはずないでしょう、相手いるのに」
もちろんマルスの言う相手とはリンクのこと。
先代もそうだったが、リンクとゼルダはすっかりマリオとピーチに並ぶおしどり夫婦で通っていてファイターが知らないはずはない。
だが、ゼルダはマルスの言葉にため息を付いた。
「・・・そうでしょうか?」
「リンクのこと、嫌いなの?」
意外な反応にマルスは目を丸くする。
ゼルダはマルスの言葉に首を振った。
「いいえ。そうではないんです、ただ・・・。彼は、私のことを、どう思っているのか」
ようやくマルスはゼルダの悩みが理解できた。
ゼルダはリンクに愛されているかどうか、自信が持てないらしい。
確かに、先代と比べると今のリンクはゼルダを愛していると言うよりもどちらかというとただ主君として崇め奉っているような所がある。
それで不安なのか、マルスは少し考え込むととっておきの提案をした。
「では、せっかくだから誘ってみたらどうかな。二人っきりでデートでもして、さりげなく聞いてみたらいいんだよ」
ちゃんとムードを盛り上げるためにバックアップするから、と請け負うマルスに従ってゼルダはリンクの対戦がない日を見つけて、庭園に出かけようと誘った。
もちろん、大事なゼルダの頼みをリンクが断るはずなく二言返事でOKを返した。
こっそり後からデートのプランニングを立てていたマルス、話を聞きつけてノリノリなピーチとプリン、ちょっかい出すのと裏工作が大好きなデデデがスポンサーになって2人のデートをプロデュースしていた。
ヘルパーとして他のファイター、フォックスやファルコ、アイクなどもアルバイトとして雇っていたが、4人が仕掛けたデートプランニングは全て自覚無しでリンクによって失敗に終わってしまった。
そして最後の大仕掛けの用意をしていたところ、さすがに怪しいと目を光らせていたリンクに見つかってしまったのだ。




『道理でおかしいと思ってみたら、お前等全員グルだったのか!!』

「あ、まずいね。さすがにリンクにばれたか・・・」
食堂のモニターにも今までの一部始終は全部配信されていた。
城に待機して見ていたファイター全員はうまくいかなかったことにため息を付いた。
興味津々で眺めていたマリオも難しい声をあげる。
さっき、一瞬だがリンクがカメラ目線で睨みつけていた様子が映っていた。
おそらく、帰ってきたらリンクに怒られることはまず間違いないだろう。
モニターにはその場の光景が中継されたまま、その場の様子が映し出されている。




「なるほど、フォックス達はバイトで首謀者はマルスって訳だ」
「・・・ごめん、リンク。手を貸したら5000コイン払ってくれるって話だったから」
リンクに追求されてフォックスはあっさり口を割った。
やはり、いくらバイトとはいえさすがに良心の呵責も多少感じていたらしい。
まるで自分が悪者であるかのように言われたマルスは面白くない。
むっとしてリンクに問い詰められる前に先に口火を切った。
「言っておくけどね!元はといえば君が発端なんだよ、リンク!!ゼルダ姫にガード堅くて男寄せ付けないくせに、君が彼女に何もしないってどういう了見なんだい!?」
「そうですわ!!マルスの言うとおり!女の子は愛されているって実感が大切ですのよ!!」
「プリッ!プリュプリュ、プリィプリィッ!!(そうよ、女の子は好きな人にたくさん好きって言ってもらいたい生き物なの!!)」
マルスを応援するようにピーチとプリンが一緒になって言い募る。
それが今回の一件の発端か、状況と事情が飲み込めたリンクは重くため息を付く。
そして、わかってないと言わんばかりにマルス達を見返した。
「言っておくけど、俺はハイラル王家に仕える勇者だ。ハイラル王家の君主であるゼルダ姫様をお守りするのは俺の役目、姫様を守るのは当然だけどそれとこれとは話が別だ」
「でも、ゼルダ姫は君のことをこんなに・・・」
思っているのに、何故そこまで頑なになる必要があるのか。マルスは思わず声を荒げる。
その言葉を遮ってリンクはひどく冷たい声音で言い放った。

「おかしな事を言うな、マルス。王子のお前がまさか、『王室典範』を知らないとでも言うんじゃないだろうな?」

「!!」
その言葉にマルスはびくりと身を引きつらせた。
ピーチ・プリン・デデデにとっては耳慣れない言葉なのか首を傾げている。
「王室、典範・・・?」
「プリュ?(それって?)」
「何ゾイ、それは・・・?」
「『王室典範』またの名を『皇室典範』とも言う。王家の決まり事、約束事をまとめたような法律みたいなものだよ。王家に生まれた人間は、その法律の定められたルールの中で生きて行かなくちゃ駄目なんだ」
キノコ王国やプププランドは平和な国だからいちいちそんな細かい決まり事などないのだろう、だがマルスの国にはそれが存在していた。
マルスも幼い頃からそれに縛られて窮屈な思いをしてきたからわかる。
くだらないメンツに固められた儀礼ばかりの王室、説明するだけでも行き詰まるような心地悪さがマルスの胸に込み上がってくる。
「その通り、特にハイラルは神の力が存在する国だ。ハイラル王家の女性はみんなお告げを聞く巫女だ。だから、王族は決められた血筋以外の者とは結ばれる事などあってはいけないんだ」
「「ええっ!!」」
あまりに残酷な法律にマルスとピーチが思わずゼルダの方を向いた。
ゼルダはその視線から逃れたくて仕方ないように、地面に視線を落としている。
リンクは王室に仕える騎士となんら変わらない地位、ゼルダと結ばれる運命にはない。
「おまけにハイラル王家は王女一人しか生まれにくい。姫様は唯一の王位継承者、王家を存続させるためにも、れっきとした相手を娶る必要がある」
「でも、リンク!!あなたの気持ちは?ゼルダの気持ちはどうなるの!?」
ピーチの言葉にリンクは眉を潜める。
ピーチはうつむいたゼルダとリンクを見比べながら続ける。
「確かにデートは私たちが仕組みましたけど、あなたもゼルダもとても楽しそうだったじゃないですの!!本当に幸せそうだったのに、嬉しそうだったのに、それなのにそんな法律なんかで全部ぶち壊しにされるなんて・・・」
ピーチ達は今までのデートの光景をずっと見守っていた。
デートハプニングは失敗に終わったが、それでもリンクもゼルダもとても嬉しそうに笑っていて心の底から一緒にいられるのを喜んでいるように見えた。
それがとても建前の法律なんかでぶち壊されて良いようなものには見えなかった。
ピーチの言葉にリンクは一瞬言葉に詰まる。
ほんの微かにゼルダを振り返ったが、拳を握りしめると目をすがめてゆっくりとカラカラになりかけた口を開く。




「むっ!!これは・・・、いかん!!まずい!!」
「メタナイト卿?」
モニターを見ていたメタナイトが思わず身を乗り出した。
その場で反応したのはメタナイトだけ、側にいたピットはメタナイトが焦った理由がわからず首を傾げた。
メタナイトはサムスに振り返った。
「サムス!!急いで、現場の誰でもいい。リンクを止めるように伝えてくれ!!」
「一体どうして?わざわざそんなことを?」
「早く!!私の推測が正しければ、リンクはゼルダ姫をひどく傷つける事になってしまう!!」
あまりに恐ろしい話にサムスはとりあえず、フォックスに連絡を入れようとした。
フォックスに繋がるその一瞬、モニターの向こうのリンクが声に出して言い放った。
それはメタナイトが想像したとおり、一番ゼルダに聞かれることを恐れていた冷たい一言だった。



『俺は、姫様の忠実な臣下。姫様がお望みとあれば、喜んでお受けする』



「!!!」
この一言にその様子を見ていたファイター全員が固まった。
一人、この展開を予想していたメタナイトは嘆かわしげに頭を抱える。
「(リンクの奴・・・、よりによってこのタイミングで『剣士の建前』を持ち出すとは・・・)」
そう言うメタナイトもデデデに仕えている立場上、この手の言い逃れ・弁明を使ったことがある。
だが、それは取り立てて忠誠心を持ち合わせていないデデデに対してだから言えたこと。
リンクのように、忠誠以上の心を抱いている相手に対しては絶対に使ってはならない言葉だった。



「リンクっ!!君・・・」
「本気で言っているんですの!?そんな、あなた・・・!!」
激昂しかけたマルスとピーチが思わずリンクに詰め寄る。
だが、それを間に入って止めたのは他でもない、ゼルダだった。
「・・・いいんです、2人とも。リンクは何も間違ってはいない。私が無理なお願いをしたのがいけなかったのです。私が、王家から離れて開放感に浸っていたから」
「ゼルダ姫・・・、でも・・・」
言いかけたマルスを遮ってゼルダは首を振る。
そしてリンクに向き直ると、いつものように笑顔を向ける。
「ありがとう、リンク。今日は私に付き合ってくださって、とても楽しい一日でした。・・・今度からは、度を過ぎないよう、気をつけますね」
帰りましょう、と先だって歩き始めたゼルダは一度も振り返らなかった。
その場に残って練習を続けると言って聞かないリンクを残して、作戦が失敗に終わったマルス達はゼルダの後を追うしかなかった。





「信じられない!!リンクったら、あんな事言うなんて!!ゼルダも見限ればいいのに!!」
「まあまあ、ピーチ姫、そうかっかせず・・・」
城に戻ってきたピーチは怒りも露わにマリオに愚痴をぶちまける。
ちなみにそれはピーチに限ったことでもなく、今回の一件はファイター達の間で持ちきりだった。
ピーチのように女性の間ではリンクを批判する声が上がっているが、中にはリンクの姿勢を色香に惑わされずあっぱれと褒める声と賛否両論別れている。
マリオは肯定派でも批判派でもないが、これには難しい声をあげた。

「(でも、リンクも辛いんだろうな・・・)」
リンクの話が本当なら、近い将来リンクはゼルダの側に仕えながら彼女が他の誰かに嫁ぐのを黙って見守らなくてはいけないのだ。
自分の恋心はひた隠ししたまま、口に出すことも許されず、見守ることしかできない。
それがどれほど辛いことなのか、マリオは想像するのに難くなかった。
「(私がリンクの立場なら、とても我慢できるものではないだろうな・・・)」
そう思いを巡らせながら、マリオはまだ帰ってきていない、普段リンクが愛用している椅子を見下ろした。





リンクは城のすぐ側にある練兵場で剣を振るっていた。
傍らに立っているトレーニング用の柱は既にボロボロになっている。
止めの一閃で柱は真っ二つに割れた。
目標を失ったリンクは剣線を下げて、乱れた呼吸を整えた。
「はあ・・・、はあ・・・、はあ・・・」

「・・・・・剣に打ち込んで迷いは消えたか?」

不意にリンクの頭上から振ってきた言葉、リンクはその声に顔をしかめると背後を振り返る。
練兵場の城壁の上、そこからリンクを見下ろしていたメタナイトにリンクは眉間の彫りを深くした。
「・・・何しに来た?」
「別に、ただの様子見に」
「嘘付くな。どうせモニターで全部見ていたんだろう。だったらわかってるはずだ、俺は姫様の・・・」
「忠実な臣下、か・・・。その一言で果たして納められるかな?」
メタナイトの言葉にリンクの目つきが殺気を帯びたものに変わる。
メタナイトがその場から飛び降りたと同時に、メタナイトのいた場所に矢が通り抜けた。
練兵場に降り立ったメタナイトは弓を手にしたリンクを振り返る。
そしてふっと微笑を漏らした。
「図星か・・・」
「うるさい!!お前に何がわかる!!運命に縛られて、大切な人と引き離されて、自分の力ではどうすることも出来ない!!その苦しさが、その辛さが、お前なんかにわかるって言うのか!?」
メタナイトは静かにリンクを見返す。
リンクも苦渋を味わったのだろう、そしてどうしても届かない思いとその役目に挟まれて悩み苦しんだに違いない。
メタナイトも気の遠くなるほどの年月を生きてきた。
その中で後悔したこと、悩み苦しんだこと、リンクと同じような悩みを抱えたこともあった。
「さあ?それは私の語るところではないが、ひとつだけ言えるとしたら、お前はその答えに納得できたのかどうかだ」
「!!」
この言葉にリンクは弾かれたように顔を上げる。
メタナイトはその様子に頷いて、踵を返す。
「所詮百年も満たずに命果てる種族だ。ならば、その短い命を惜しまずに後悔せず生きる方法を探せばいい」
「・・・・・お前は、今も後悔しているのか」
リンクの言葉にメタナイトは微かに振り返りかけた。
リンクには確信があったが、メタナイトはすぐに一笑に付すとそのまま去っていってしまう。
「なんのことかな?」
そう言い残した声の余韻は、夜風に攫われるように悲しく消えていった。





深夜、世界の管理をしているマスターハンドは異様な気配を感じ取った。
亜空は消え去ったはずだが、夜の闇に紛れて何かが潜んでいる。
正体を突き止めようとしたマスターハンドの様子に気がついたのだろう。
それはマスターハンドの手をすり抜け、一目散にファイター達の居住する城に向かった。
ほんの一部光に照らされて、その実態が露わになる。
黒く、なんの形も持たないスライムのような実像のない姿。
マスターハンドはそれに見覚えがあった。
「しまった!!バグだ!!」
この世界のガン細胞とも言うべき存在、それがファイターに取り憑いたりしたら大変な騒ぎになる。
マスターハンドは急いで警鐘を鳴らした。


to be continued...

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