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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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メタカビ←ダメタの続編です。
あれほど以前の連載で焦らしたっていうのに、また中編。
・・・あんまり焦らしすぎるとお客さんに嫌われるぞ。(痛切に実感)



ダメタが出るならシャドウも出さなくてはいけないでしょう。
攻略本では敵キャラ表示で掲載されていましたが、シャドウはれっきとした味方キャラだと思います。
(アイテム落としてくれたり、コピー届けてくれたり)
ゲーム中でも出てきてくれたら無性に嬉しかったのですが、かわいそうすぎてなかなか攻撃できませんでした。

『Pupil in interior of mask』
(仮面の瞳が映すもの)



 

一寸先も見えないような暗闇の空間に透き通った冴え冴えとした光が差し込んでいる。
まるで氷のような冷たく透明な空間、そこはディメンションミラーの像が創り出した鏡の世界。
ディメンションミラーは鏡の世界にも置いてあった。
その鏡の前に大人しく座っているカービィ。
いつもは元気ではつらつとした瞳はぼんやりと焦点の合わない目をして、宙を捉えている。
その視界に人影が立ちはだかった。
鏡に映ったカービィの姿に魅入られ、そして同じく一緒にいたメタナイトからその姿を写し取った鏡の意志が具現化した姿。
仮面の左目に入っている亀裂とその向こうから覗く赤い眼が特徴的な黒いメタナイト。
彼こそが、カービィを鏡の世界に連れ去った張本人。
鏡の闇から生じた『ダークメタナイト』だった。
ダークメタナイトは目の前のカービィに手を触れる。
魂を抜かれてしまったようにぼうっとしているカービィは抵抗すらしない。
ダークメタナイトは満足そうに口元を緩める。
そして動かないカービィを宝物のようにその手に抱きしめる。
「ようやく手に入れた・・・。私だけのもの・・・、私だけの人・・・」
しばらくカービィを抱きしめて離さなかったダークメタナイトだが、微かにディメンションミラーから聞こえる物音に顔を上げる。
ダークメタナイトはすっと目をすがめた。
するとディメンションミラーの本体、表の世界の像が鏡に映った。
鏡の前で必死になってカービィの名を呼び、拳を鏡に叩きつけているメタナイトの姿。
幾度となく叩きつけられた手は皮膚が裂けて血がにじんでいた。
そのあまりにも無様、無駄な行動にダークメタナイトはくくっ、と忍び笑いを漏らす。
「ふふふ、ははははは。何をやっても無駄なこと・・・、ずっと悶え苦しむがいい」
踵を返しながらダークメタナイトから忍び笑いの声が溢れてとまらない。
抱きかかえたカービィを鏡の世界のベッドに横たえる。
薄くぼんやりと開いた瞼はその手で閉ざした。
まるで眠っているようなカービィにダークメタナイトは覆い被さるようにその顔に触れる。
「この方は私のもの・・・」
カービィの唇にダークメタナイトの手が触れた。
「私だけのものだ・・・」




 

『お姫様を目の前で奪われた騎士は、なんとしてでもお姫様を助け出そうと必死でした。
しかし、鏡は騎士の願いは叶えてくれないのです。
騎士はそれでも諦めず、鏡を壊そうとしながらも願いました。
『姫様を帰してください。姫様が帰ってくるなら、私は命も惜しくはない』と。
そのあまりの強い願いは鏡にもう一つの心、正しい心を呼び覚ましました。
正しい心は騎士を助けたいと思っていました。
しかし、正しい心は騎士の願い『お姫様を取り戻す』ことを叶えることが出来ませんでした。
なぜなら、悪い心の方が正しい心よりも遙かに強い力を持っていたからです。
お姫様は悪い心が捕まえて離しません。
鏡の世界に行ってしまったものは、自分が望まない限り元の世界には帰れないのです。
どうすることも出来ず、正しい心は困り果てました。
すると騎士は正しい心に違う願いをしたのです。
『ならば、私を姫様の元へ連れて行ってくれ。それ以上は何も望まない』
正しい心はその願いを叶えることにしたのです。』







「カービィ!!カービィ!!」
ディメンションミラーに閉じこめられたままのカービィを救おうと、メタナイトは一心不乱で鏡の表面を叩いた。
だが、鏡は沈黙するばかりで何も映し出しはしない。
それでもメタナイトは諦めずに自分の手を鏡に叩きつける。
もはや何度叩いたかなどわからない。
手の感覚がしない上に、腫れ上がった手から血がにじみ出てもメタナイトはその手を止めようとはしなかった。
だが、どれほど叩こうと何をしても鏡は何も応えない。
メタナイトは叩きつけていた手を鏡に押し当てたまま、爪を立てる。
「頼む・・・、カービィを・・・、あの子を・・・、返してくれ・・・!!」
まるで血を吐くような痛切な願い。
メタナイトの一番の望み、一番の願い、それは全てカービィの為、それこそが全てだった。
鏡はそれまでなんの変化も起こさなかった。
しかし、メタナイトの触れていた部分、鏡の奥にほんのりと小さな光が宿る。
最初、それは蛍のように小さな光だったが、それでもメタナイトの手に触れたがっているようにちらちらと飛び回っていた。

『あたたかいね』

「・・!?」
鏡の奥から聞こえた声、カービィによく似た声にメタナイトは顔を上げた。
目の前の鏡に映っている蛍のような光はメタナイトの手の周りを飛びながら囁きかける。

『きみのおてて、あたたかいね。やさしいね。やさしいきもちがいっぱいつまっている。やさしいおもいでさわってる。うれしいな。きもちいいな。うれしから、きみのためになにかしてあげる。なにをかなえてあげようか?なにをしてほしい?』

「そなたは、一体・・・」
メタナイトが信じられないように思わず鏡から手を離す。
すると小さかった光はボール状の大きさに広がって、ゆっくりと形を象っていく。
鏡に映し出されたのは、灰色をしたカービィの姿だった。
「なっ!?」
『こんばんは、メタナイトきょう。ぼくはカービィのすがたをうつしとったかがみのこころ。かげのなかのそんざい、シャドウカービィ。きみがカービィをおもっていたから、たすけてあげる。きみのおねがいはなに?』
鏡の中のカービィ、シャドウカービィは聞き慣れたカービィの声で流ちょうにメタナイトに話しかける。
最初は驚いて声も出せなかったメタナイトだが、彼がカービィを救う手立てになると確信するとシャドウカービィに詰め寄る。
「私の望みは、カービィを取り戻すこと・・・。鏡に取り込まれたカービィをこちらに返してくれ!!」
鏡の国の住人ならそれくらいたやすいはず。
そう思って期待に胸を高鳴らせていたメタナイトだが、予想に反してシャドウカービィは悲しそうに首を横に振った。
『ごめんなさい。それはできないよ』
「なにっ?」
『カービィをもっていっちゃったのは、かがみのもうひとつのこころのほう。メタナイトきょうのすがたをうつしたこころはぼくよりもつよいの。だから、とりかえしてあげられないの』
「他に方法はないのか!?」
メタナイトの言葉にシャドウカービィは悲しそうに首を振る。
『カービィはこっちのメタナイトきょう、ダークメタナイトにつかまってとりこにされてる。いちど、こっちのせかいにきてしまったものはそのひとがもとのせかいにかえりたいとおもわなくちゃかえれないんだ』
だから、ごめんなさい。
しょぼんとしてシャドウカービィはメタナイトに頭を下げた。
すると、メタナイトは少し考えた後、シャドウカービィが消えてしまう前に引き留めて話しかける。
「待ってくれ、シャドウカービィ。そなたが鏡の国の存在なら、私をそちらに連れて行くことは可能なのか!?」
『それはできるけど・・・。!!まさか、メタナイトきょう、こっちのせかいにくるつもり?』
信じられないように声をあげたシャドウカービィにメタナイトはしっかり頷いた。
「もはやこれしか方法はない。私がそちらに行ってカービィを連れ戻す!!」
『むちゃだよう。かがみのなかのせかいはおもてのせかいとちがうんだよ。それにダークメタナイトはものすごくつよいんだから!』
シャドウカービィは必死にメタナイトを思いとどまらせようとした。
しかし、メタナイトはシャドウカービィをまっすぐ見据えたまま、首を横に振ろうとはしない。
そして、なかなか承諾しないシャドウカービィに更に続けた。
「頼む、シャドウカービィ!もう、そなたしか頼みの綱はないんだ!!手引きした罪も私が全て請け負う。だから、一刻も早く私をカービィの元へ!!」
『・・・・・』
少しも譲る様子のないメタナイトにシャドウカービィは困ったように眉を潜める。
だが、メタナイトの願いでシャドウカービィに叶えられそうなのはこれしか見つからない。
仕方なく、シャドウカービィはメタナイトの願いを叶えることにした。
『・・・わかった。それじゃあ、鏡に触って』
シャドウカービィが薦めるとおり、メタナイトは両手を鏡に合わせる。
シャドウカービィが鏡の向こうからメタナイトの手に合わせた。
すると、

「!!」

突然、鏡がぐにゃりと曲がったかと思うと、シャドウカービィの手がメタナイトの手を掴んでいた。
シャドウカービィはメタナイトの手を掴んだまま、鏡の奥へと引き寄せる。
まるで鏡の膜をすり抜けるように、メタナイトの体は鏡の中へと入り込んでいった。


 

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