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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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久々に書き上げましたフォリン好きへのお題です。
9.そばにいさせて


4とか7とかのネタで使ってたので、ネタが枯渇気味・・・(アッー)
リンクは森育ちの自由人なので、インテリなフォックスが多少ぎょっとするような事でも平気でやってのけちゃう子だと思います。
そしてそこがかっこE(黙!)


余談ですが、レグも昔作中のリンクみたいなことしでかして、朝になって親に物騒だの怖いだの散々注意されました。(笑)


『Will you hear it on the side?』
(側で聞かせて)



「・・・ん」


草木も眠る丑三つ時。
夏の頃なら起きていたくない時間帯だが、秋の夜長には眠るのが惜しい時間帯だ。
珍しく朝まで熟睡しているはずのフォックスが眠れずに目を覚ましたのはそんな夜のことだった。
ベッドの側の窓からは煌々と光る満月が覗いている。
時計を確認すると夜中の2時を少し回ったくらいの時間帯だった。
(やれやれ・・・、こんな時間に目を覚ますなんて子供の頃以来だ・・・)
すっかり目が冴えてしまって眠る気が起きない。
水でも飲んでこようかと部屋を出て、給湯室へと向かう。
途中、吹き抜けになっている廊下から吹いてきた風はもう秋らしい冷たさを持っていた。


「 !?」

何事なく通り過ぎようとしていたフォックスの耳が微かに何かの音を拾う。
それは最初風の音かと思っていたが、とぎれとぎれなメロディのようにも聞こえた。

こんな時間に一体誰が・・・。

フォックスは神経を研ぎ澄ませて、耳をそばだてる。
そのメロディは、城のすぐ側にある原生林、ファイター達が迷いの森と呼んでいる場所からだった。
この原生林は昼でも殆ど日の光が差さない鬱蒼とした場所な上に、似たような場所が多くていつの間にか出口に戻ってきていたり、同じ所を何回も回っていたりしているから足を踏み入れたら迷子になってしまう「迷いの森」と言われていた。
もちろんファイター達でもここに足を踏み入れる者は殆どいない。
だが、その日は満月のせいだろうか。フォックスは自然とそのメロディのような音に導かれるように森の中へと足を踏み出していた。
夜の「迷いの森」は昼間の不気味な姿とは一変して、月明かりが映える幻想的な空間だった。
むしろ昼間よりも夜の方が視界がいいのではないかと思えるほど、フォックスの目には森が美しく見えた。
冴え冴えとした澄んだ空気に優しい草花の香りが心地よい。
あまりの心地よさにフォックスがうっとりと眼を細めたとき、またあの音を聞いた。
今度は間違いなくメロディとして聞こえる。
まるでフォックスを誘うように、招くような強弱のはっきりとした曲調。
いつしかフォックスはそのメロディに誘われるように歩み出していた。
最初はゆっくりとしっかりメロディを確かめるように歩いていたが、曲調がはっきりと聞こえるにつれてフォックスの足はどんどん速く進んでいく。
最終的にはフォックスは全速力で森の中を駆け抜けていた。




「-!!」
フォックスが行き着いた先は開けた広場のような場所だった。
木に囲まれたその場所は月明かりで昼間のように明るい。
中央に一本だけ立っている木の下で、その人物はメロディを奏でていた。
「・・・リンク」
「 !! フォックス!?」
それまでオカリナを奏でていたリンクはフォックスの気配に気がつかなかったのか、声を掛けると驚いたように顔を上げる。
しばらく信じられないのか何度も目をぱちくりさせていたが、やがて困ったように頭を抑えた。
「あ・・・、もしかして、これの音がうるさくて起こしたか?ごめん、つい癖で・・・」
「いや、違うんだ。俺が起きたのは偶然で、水飲もうと給湯室に向かう途中で微かに聞こえたから気になって・・・」
リンクに気を遣わせないよう、フォックスはここに来るまでのいきさつを告げる。
するとリンクも納得したのかほっとしたように表情を緩めた。
「良かった・・・。別の世界には夜に笛の音色は縁起が悪いって言われてるって知ってたから、気にはしてたけど抑えられなくってさ」
「わざわざ、こんな辺鄙な場所まで来て?そこまでして吹きたかったのか?」
誰も来ないような、それこそ縁起でもない名前を付けられている森で月夜に笛を吹くなどそれこそ物騒ではないか。
そう言うとリンクは難しい顔をしてため息を付く。
「みんなはここを物騒だって言うけど、俺にとっては懐かしい場所なんだ。俺が育ったコキリの森はこんな風な場所だったから・・・。それに森でオカリナを吹いていると木霊が返ってきてすごく綺麗なんだぜ。特にこんな月明かりの夜は木霊も良く響くし・・・」
「(あっ!そうか・・・)」
そこまで聞いてフォックスはようやくリンクがこの場所を気に入っているのかが飲み込めた。
滅多にリンクは自分の事を話さないから忘れがちだったが、リンクは子供の頃妖精の子として森で育っていたのだ。
例え他のファイターに忌み嫌われた森だとしても、リンクは臆すことなく分け入ってこの場所を、心おきなくオカリナを楽しめる居場所を見つけたのだろう。
それに何より、フォックスもリンクのオカリナに導かれて初めてこの森の美しさを目の当たりにしたばかりではないか。
そのことを思い出してフォックスはバツが悪そうに微笑んだ。
リンクもその様子に気がついたのか、どうした?と声を掛ける。
「いや、たまには夜更かしも悪くないな、と思ってさ」
「へえ!真面目なフォックスが珍しいな。どういう風の吹き回しだ?」
「早い話が夜の森でのオカリナコンサートが気に入ったって事だ!」
その言葉に今度はリンクが吹き出しそうになって、手で口元を抑える。
「別に、俺はプリンみたいにリサイタルしていた訳じゃないぜ!!」
「だったら、側で聞かせてくれるだけでいい。森のオカリナを聞きたいんだ」
いいだろ?と顔を覗き込むと、リンクは笑って自分が腰掛けていた隣をポンポンと叩く。
座れの意思表示、フォックスが腰を下ろすとリンクはもう一度オカリナを口に添えて曲を奏で始めた。


リンクのオカリナに反応するように木々の間から木霊が返ってくる。ビブラートのかかったその音色は月明かり
に良く似合って美しかった。

(これが、リンクが見てきた光景、彼を育てた全てなのか・・・)

その光景を目にしながら、フォックスはリンクの故郷の森・リンクの生き方に思いを馳せた。
教えてもらえること、聞かせてもらえること、学ぶことだけが全てじゃない。
側にいることで理解できることもあるとフォックスは初めて知った。
何かを共感することで互いをもっともっと分かり合うことが出来る。互いをもっと好きになれる、その時はそれをはっきりと感じることが出来た。

 

とりあえず今はリンクの側でオカリナの音色を聞こう。
今はリンクが一緒のせいか森の中でも少しも怖いとは思わない。
身を委ねるような安心感にフォックスは穏やかに目を閉じた。
 

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