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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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週末リクエストの第二作目です。
集計期間がたった一日しかなかったので、あまりリクエスト数は多くなかったです。
今回は、

>壊した城の弁償のため、働かされるジョリカ

のリクエストです。
最近マイナーかと思われていたジョリカリクエストがきて、ちょっと嬉しいです。

でも、本人がぶっ壊したのってシリカだけなんですよね;;
ジョーはワドちゃん攻撃したり、魔獣呼んだりして好き放題したけど、城を壊したのは魔獣だし・・・。

時間軸としては最終回以降くらいと思ってくださると読みやすいかと思われます。
リクエストしてくださった方のみ、お持ち帰りフリーです。
こんなものでよろしければお持ち帰りくださいませ。

『The person who doesn't Compensation must not falls in love. 』
(償わざるもの恋するべからず)


コンッ!コンッ!コンッ!

定期的に何かを割るような音が城の中庭で響いている。
中庭には大量の木材が山のように積まれている。
ワドルディが木材のブロックを反対側に立っていたジョーに向けて投げた。
「スマッシュパンチ!!」


コンッ!


ジョーが放ったパンチが木材にクリーンヒットすると、ブロック状の木材はきれいに6分割に割れる。その度に鹿威しのような澄み切った衝撃音が響いた。
割れた木材は他のワドルディがすぐさま回収してジョーの後ろに積み上げる。
割っていない木材と割れた分の木材の山が同じくらいの料になる頃、ジョーの額には汗が浮かんでいた。
「ナックルジョー」
声をかけられて振り返るとフームがバスケットを持ってきたところだった。
フームはタオルを差し出しながらにっこりと笑う。
「お茶持ってきたの。休憩にしましょ」
「・・・ああ」
ワドルディ達にも休憩の指示を出してジョーはその場に座り込んだ。
そしてフームが差し出してくれた冷たいお茶を一気に飲み干す。
大きく息をついたジョーにフームは気遣わしげに声をかけた。
「お疲れ様。大変だったでしょ、この城の薪割り。デデデの奴、すぐ無駄遣いするからあっという間に無くなっちゃうの」
「まあいいけどよ。これもトレーニングの一貫だと思ってやるさ」
「でも、デデデもケチよね。貴方たちにこんな仕事させるなんて、半分自業自得なくせに」
「・・・まあ、しょうがねえよ。俺もシリカもみんなに散々迷惑かけたわけだし」



話は数時間前に遡る。
銀河戦士団のオーサー卿からの伝言とお遣いをメタナイトとカービィに伝える役目を請け負ったジョーとシリカは久しぶりにポップスターへ、デデデの城へとやって来た。
ちなみにその昔、まだジョーもシリカも今ほど成長していない未熟だった頃、デデデの城で散々暴れ回った経歴を持っている。
その為、デデデは2人が来ることをあまり他のみんなほど歓待していない。
むしろケチでがめついデデデは自身の通販無駄遣いの金欠も2人のせいだと責任転嫁して目の仇にしていた。
2人が尋ねたときも、ちょうど折り合い悪く、デデデは請求書の額面通達が来てご機嫌ななめだった。
『『えっ!?弁償!?』』
メタナイトとカービィに必要なことは全て伝え、そろそろ帰ろうかと思っていた矢先、部屋に突然乱入してきたデデデの言葉にジョーもシリカも目を丸くした。
いきなり何を言い出すかとメタナイトでさえ呆気に取られている。
デデデはイライラで鼻息も荒く、問答無用で言い募る。
『お前等2人が前にワシの城を破壊して回ったせいでワシの懐は火の車ゾイ!!そのツケを払わん限りここに来ることは絶対にゆるさんゾイ!!』
『額面にしてこれだけ分働いて返さないと、銀河戦士団に、オーサー卿に言いつけるでゲスよ!!』
デデデの言葉を引き継いだエスカルゴンは今し方届いたばかりの請求書を2人の目の前にかざす。
ゼロが何個あるのか一目ではわからないほどの莫大な金額がそこには書かれていた。
あまりに理不尽かつ、暴利で恐喝めいた手法に当然2人から反発の声が上がった。
『ぶっ壊したのは俺じゃねえ!!ダウンロードした魔獣だ!!なのになんで俺が弁償しなくちゃいけないんだよ!!』
『私が破損したのは銃で撃ったごく一部だ!!それなのに、なんでこんなに沢山の金額・・・。おまけになんでオーサー卿にまで、私たちの問題なのに卑怯だ!!』
『黙れい!!ワシはこの国の王様ゾイ!!法律も憲法もワシの一存で決めるゾイ!!』
『ガキのお前達が払わないなら、責任は保護者に請求するでゲス!!オーサー卿が嫌なら、カービィとメタナイトに払ってもらうまででゲスよ!!』
『『ッ!!』』
この言葉にさすがのジョーとシリカも返す言葉を無くした。
最初こそメタナイトを憎んでいた2人だが、成長してものの道理もわかった今になっては、親達の戦友として後見人的な意味でそこそこ信頼している。
カービィは自分たちの可愛い後輩、一途で小さいながらも一生懸命に頑張っているカービィのことはジョーもシリカも弟か妹のようにかわいがっている。
その2人に自分たちの過去の失態を肩代わりさせるわけにはいかない。
特にカービィに至ってはデデデは何をしでかすか、何で支払わせるかわかったものじゃない。
仕方なく、今日一日、ジョーとシリカはデデデ城で理不尽な強制労働を受け持つしか方法はなかった。



その時のことを思い出してジョーの口から深いため息が溢れた。
せめてもの、メタナイトの取りなしで2人には適材適所の仕事に振り分けて手伝い要員としてワドルディ数人を宛がわれることになったのがまだ救いだった。
力もありタフなジョーは肉体労働を、城の薪割りの仕事をしていた最中だった。
フームが持ってきてくれたクッキーを口にしながらジョーは思いついたように話しかける。
「シリカはどうだ?大丈夫そうか?音、上げてないか?」
「大丈夫よ。さっきここに来る前に様子見に行ったんだけど、機械とかネットワーク系に強いから前よりも断然使いやすくて安全なようにプログラムされてたわ」
笑いながらフームはその時の様子をジョーに話して聞かせる。
デデデは買ったものや仕入れたものについて、深く説明書を読んだり使い方を活用したりすることはまず無い。
全部業者任せのやり方をするから、それによって業者にカモにされていることに気がつかず余計な金を払っていることも多々あった。
そのあまりに杜撰なやり方にシリカは悪びれる様子もなくデデデにズバリ言ってのけてから機械のアップデートやセットアップを始めた。
エスカルゴンは知識や技術はあるが頭が古い。自分の技術に驕って、最新の技術や機能についてはひどく疎かった。
シリカに散々けなされ、バカにされたデデデの怒りの矛先はじいやであり八つ当たり対象のエスカルゴンに向いた。
「ぶっはははははははは!!ざまあねえな、デデデのオッサンもエスカルゴンの爺さんも!!」
「2人ともお馬鹿だからジョーもシリカも気にすることないわよ。良い薬だわ」
盛大に吹きだして笑いこけたジョーにフームは辛辣に付け加えた。
フームはデデデ達に対して点が辛い。
さっきもシリカに散々ぼろくそに言われていたデデデ達を見て、内心小気味よさを感じていた。
「でも、本当にシリカって気丈なのね。ジョーも結構強気だけど、デデデにまであんなにこき下ろすなんて思っても見なかったわ」
「まあ、あいつの気の強さは勝ち気なところから来てるんだと思うぜ。おかげで俺にも平気でワガママ言うし、ちょっと構わなかったらまた拗ねるし、要するにじゃじゃ馬なんだよな。シリカって」
もっともらしくジョーはため息を付いたが、フームにはジョーが口で言うほどシリカに対して手を持て余しているようには見えなかった。
(もしかして、ジョーって・・・)
フームに浮かんだちょっとした憶測、それを口にしようか迷っていると・・・。

「あっ!!いたいた!!おーい、ジョー!!薪割り終わったのかよー?」
「ブンか。ああ、殆ど終わったよ。なんか用か?」
中庭に来たブンは走ってジョーとフームの元に駆け寄る。
そして手にしていた紙、メモ用紙をジョーに手渡した。
「これ、シリカからの頼まれもの。機械の部品、街までひとっ走りして買ってきて欲しいって」
「はあっ!?なんで俺なんだよ!!ワドルディに行かせりゃいいじゃねえか!!」
「俺もそう言ったんだけど、難しい部品だからワドルディじゃ無理だって。ジョーならわかるから、渡してくれって頼まれたんだ」
「マジかよ・・・」
ため息一つ付いてジョーはメモに視線を落とす。
そこにはシリカの文字で、見慣れた部品のリストが書かれていた。
内容を見たジョーの表情が変わる。やはり他の人では無理だとわかったのだろう、重い腰を上げるように立ち上がった。
「しょうがねえな、行ってくる。ブン、後で届けに行くって伝えてくれ。お茶、ありがとなフーム」
軽く礼を述べてジョーはその場を後にする。
中庭に残されたフームとブンはジョーが出て行くのを見送っていた。
しばらくしてブンが思いついたように声に出す。
「・・・なんか、嫌そうに見えないな。むしろ嬉しそうだけど、やっぱこの仕事きついのかな?」
「多分そうじゃないと思うわ。頼まれたこと自体が嬉しいのよ」
「それってどういう意味?」
首を傾げた弟にフームはくすっと笑うと頭を撫でる。
「あんたはまだ知らなくて良いの」



買い出しに行かされて三十分ほど、頼まれた部品を持って帰ってきたジョーにシリカは作業の手を止めた。
「お帰り、お疲れ様」
「これからは自分で行けよな。俺だってやることあるんだから」
「しょうがないじゃない。私だってプログラミングで手が離せないんだもの」
「はいはい」
そこら中、部品とケーブルだらけで足の踏み場もない部屋を見渡しながらジョーは生返事を返す。
シリカは早速買ってきてもらった部品を開封しながら作業の手を進める。
部屋から立ち去りかけたジョーに気がついてシリカは少し顔を上げた。
「どこ行くの?」
「今度はガラクタの処分。デデデのオッサンの奴、飽き性だからスクラップ大量にあるんだよ」
砕くのが大変だ、と愚痴こぼしたジョーにシリカはぽつりと呟く。
「・・・無理しなくて良いのに」
「ん?」
沈んだ様子のシリカの声音にジョーは振り返った。
シリカはうつむいたまま、ぽつりぽつりと続ける。
「元はといえば、私がデデデの城を攻撃した張本人なのに、なんだかジョーまで巻き添えにしちゃったみたいで・・・」
「そんなことか。気にすんなよ、シリカ。俺だってデデデのオッサン利用して魔獣呼び寄せたりしたからおあいこだって」
「でも、それはジョーの責任じゃないでしょ」
間接的にはジョーが関わっていたとはいえ、城を破損したのは魔獣。
本来なら魔獣の仕入れ先、ホーリーナイトメアが弁償すべき所だ。
だが、シリカの場合は紛れもなく銃を乱射して暴れ回ったのはシリカ本人。
怒りと憎しみに我を忘れていたとはいえ、今思い返すととても短慮な行動だった。
落ち込んで小さくなったシリカにジョーは側に近寄るとその場に腰掛ける。
「いいんだよ、シリカがそんな事気にしなくたって。俺は自分の意志でやってるんだから、嫌だったらとっとと放り出して逃げてる」
「でも、だからって・・・」
言いかけたシリカを遮ってジョーは拳を突き出す。
そしてにやっと少年らしい笑顔で笑った。
「俺たち、パートナーだろ?辛いのも楽しいのも全部分かち合って一緒に受け止めてたらいいじゃねえか。大体、シリカ一人に働かせて俺一人さぼるなんて寝覚め悪くて仕方ねえよ!!」
シリカはしばらく突き出されたジョーの拳を見ていた。
やがてふっと表情を緩めると、自分の拳をジョーの拳に軽く当てて微笑む。
それでも、持ち前の勝ち気な皮肉が口を付いて出た。
「カッコつけたこと言っちゃって、後で音を上げても遅いんだからね」
「そっちこそ、弱音吐いて俺に全部任せるなんて事するなよな!」



日がとっぷり暮れて沈む頃、城の中は見違えるようにキレイに片付いていた。
仕事を全部今日中に済ませて戦士団への帰路についたジョーとシリカは仕事が終わるなり早々に引き上げてしまっている。
無事に帰り着いたかどうか、多少心配もしていたメタナイトの元にオーサー卿から連絡が入ったのは夜も更けた頃だった。
「2人は帰り着きましたか。長く2人を引き留めして申し訳ありません。オーサー卿」
『いや、メタナイト卿の元にいたからこそ、私も安心して待っていられた。それよりも2人が世話になった』
「世話になった?それはどういう意味でしょう?」
メタナイトの言葉にオーサー卿は微かに微笑んで2人が帰ってきたときの様子を語る。
出かけたときはまだまだ子供ぽかった2人だが、帰ってきた2人には子供ぽさが無くなってどこか成長したように見えたのだという。
ちなみにそれを感じ取ったのはオーサー卿だけではなく、他の戦士団のメンバーも同じように感じたらしい。
そして口を揃えて『帰ってきた2人が、昔の仲間の様に見えた』と言った。
戦乱で命を落としたジョーの父親とガールート、その面影をオーサー卿も2人に見いだしていた。
戦士団ではメタナイトが特別な指導を2人に施したのではないかという噂も立っているという。
メタナイトはその言葉に薄く笑って首を横に振った。
「いいえ。彼らが成長したのは、彼ら自身の心が変わったため。私は何もしておりません」




通信を行っているオーサー卿の後ろ、帰り着いてソファに腰掛けて待っているよう言われていたジョーとシリカは一日の仕事の疲れのためか、待ちくたびれて眠ってしまっている。

だが、お互いもたれかかり合うようにして眠っていた2人の寝顔は、とても穏やかで、とても幸せそうだった。
 

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