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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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ジョリカ同盟に参加させていただきましたので、お題こなしつつ数増やそうと思います。


お借りしたお題は、
恋したくなるお題』の『あの人の心を開く5のお題』。
01. 突然、視界に飛び込んで来た君
02. ドアを蹴破って
03. 砂糖菓子のような笑顔
04. いつのまにか
05. いてくれてありがとう


本日は第二弾、『ドアを蹴破って』。
前回はシリカサイド中心だったので、今回はジョーサイド中心です。

 

 


『When your voice is heard』
(きみの声が聞こえたら・・・)


銀河に点在するホーリーナイトメアの魔獣がそこそこ片付いた頃、魔獣を追って狩っていたナックルジョーとシリカはつかの間の休息に久しぶりにポップスターへ、カービィ達に会いに来ていた。
女同士でフームと一緒にお話しすることになったシリカと離れて、ナックルジョーは中庭でカービィの相手をしていたが・・・。



「きゃあああああああああああああ!!」



「!?」
フームの部屋から聞き慣れたシリカの叫び声が聞こえた。
その声に突き動かされるようにナックルジョーは脱兎の速さでフームの部屋に急ぐ。
ドアを開けるのももどかしく、自慢の蹴り技でドアを蹴破った。
「どうした、シリカ!!・・・え?」
「っ!ジョー!!」
部屋に飛び込んできたナックルジョーはその光景に目を丸くする。
シリカはいつもの見慣れた戦闘服ではなく、今まで着て見せたこともないようなスッキリとしたラインのドレス姿だった。
傍でフームやメーム夫人がアクセサリーや髪飾りを用意している。
おそらく着替えさせた発起人はこの二人だろう。
いきなり現れたナックルジョーにシリカの顔が真っ赤に染まった。
「み、見るなーーーーーーーーーーー!!」


パシィッ!


ナックルジョーの頬にシリカの平手が飛んだ。
叩かれた勢いでナックルジョーは傍のテラスから中庭に吹っ飛ばされてしまう。
幸い落ちた場所が噴水の中だったから怪我をせずに済んだ。
「何だよ!シリカのバカ!暴力女!乱暴者!せっかく人が心配してやったのに!!」
全身ずぶ濡れになってもなお、ナックルジョーは頭上のテラスに向かって文句を投げる。
テラスの扉は閉じられた上にご丁寧にカーテンまで布かれてしまった。
ナックルジョーの抗議はシリカには届かなかったようだ。
忌々しげにテラスを睨みつけていたナックルジョーの耳にくつくつと笑う声が届いた。
その声に気がついたナックルジョーが振り返ると、いつの間にいたのかメタナイトがナックルジョーを眺めていた。
子供みたいに喚いていたところを見られて気恥ずかしくなったナックルジョーは思わず下を向いた。
メタナイトはマントからタオルを取り出すとナックルジョーに差し出す。
「使うがいい。春先とはいえ、そのままでは風邪を引くぞ」
「・・・ああ、ありがとな」
「気にするな。・・・しかし、派手にやられたな」
メタナイトはナックルジョーの頬にくっきりと残った叩かれた後を一瞥する。
シリカに撲たれた後はまだ赤くなって腫れている。
ナックルジョーは罰が悪そうにそっぽを向いた。
「・・・いいよ。俺まだガキだし、親父みたいに格好いい訳にはいかねえよ。女に撲たれて顔に痣作っちまうようじゃな」
だから笑うんなら笑え、とナックルジョーはふて腐れた。
メタナイトはナックルジョーの父親を知っている。
どうしても見比べられてしまうのは仕方のないことだった。
そう言いつのったナックルジョーにメタナイトは頭を振って隣に腰を下ろす。
「いや、そなたは父君にそっくりだ。私が笑ったのは、彼とそなたが生き写しと思えるほどあまりに似すぎていたからだ」
「親父が?」
メタナイトの言葉にナックルジョーは意外そうに聞き返した。
まさか銀河戦士団でも屈強の戦士だった父が、まさか自分みたいにこんな間抜けた事をしたとでも言うのだろうか。
ナックルジョーにはメタナイトの言葉が素直に信じられなかった。
メタナイトはナックルジョーを振り返ると昔を思い返しながら話し始める。
「まだ、そなたが生まれる前のことだ。まだ大戦もそれ程悪化していなかった頃、そなたの父は天涯孤独だった私を実の家族のように接してくれた。何度か、彼の故郷の家にも招いてもらったこともある。そなたの母も私を温かく迎えてくれた」
「へえ・・・」
父も母も小さい頃に亡くなっていたから、それまでどんな暮らしをしていたのか息子のナックルジョーでも詳しくは知らない。
その手の話を聞けるような人も今まで周りにはいなかった。
初めて聞く自分が生まれる前の話にナックルジョーは夢中で耳を傾けた。
「そなたの両親は戦乱中だったこともあってかなり若くして夫婦になった。その為か、私がいる前でもほんの些細なことで良く衝突して喧嘩もしていた」
「えっ!マジ!?」
まるで自分とシリカのように両親も喧嘩をしていたと聞いてナックルジョーは目を丸くする。
それまでナックルジョーは、少なくとも父親は優秀な戦士だったと聞いていたから強く優しい人柄だと信じて疑わなかった。それなのに、そんな短慮なところがあったとは・・・。
ナックルジョーの思っていたことを察したのか、メタナイトは付け加えるように続ける。
「彼は誠実で腕も一流だったが、何分不器用で特に大切な人には素直に優しさを表現出来ずにいた。言葉で相手に気持ちを伝えるのが上手ではなかったのだ。心の中ではとても大事に思っていたのに、きっかけが彼には必要だった」


ある日、メタナイトが彼の家に招かれて二人で話をしていた時、彼の妻の叫ぶ声が聞こえた。その時、誰よりも一番に彼女の元へと駆けつけたのがナックルジョーの父だった。
よほど心配だったのだろう、彼女がいた部屋のドアを蹴破ってまでして駆けつけた。
だが、彼女は慌てて夫を部屋の外に追い出した。
不思議に思って、その場に残ることを許されたメタナイトは彼女に訳を問いただすと、さっきの叫び声は驚きの声だったという。
悪阻の兆しが現れて、喜んだあまり思わず声に出して叫んでしまったが、夫には気恥ずかしくて素直に言えなかったのだという。
もちろん、訳を聞いたメタナイトがすぐに追い出された友に説明をしたのは言うまでもない。


「まさか・・・、それって・・・」
「そう。その時彼女の中に宿っていた子、それがそなただ」
「・・・親父にも、そんな頃があったんだ」
初めて聞く自分の誕生話にナックルジョーの頬がほんのりと赤くなる。
父親も自分のように未熟で同じような事をしていた頃があったのか、そう思うとおかしいような嬉しいような気がしてナックルジョーはフームの部屋、シリカがいる部屋を見上げた。





「メーム夫人、フーム、私の服返してください!」
「あらぁ、せっかくかわいらしくしたのに・・・、とってもお似合いよ」
さっき、慣れない衣装に着替えさせられたシリカは普段とのギャップと慣れない衣装やアクセサリーの感触に驚いて叫んでしまった。
メーム夫人やフームは着替えたシリカをしきりに綺麗だと褒めそやすが、シリカにとっては気恥ずかしさが勝って素直に喜べない。
ましてや、一番見られて恥ずかしい相手、ナックルジョーにまで着替えた姿を見られてしまった。
あの時のナックルジョーの顔はまるで変わった何かを見るような目だった。
この後絶対に何か言われる、そう思うとシリカは顔が火照るのを抑えられなかった。
「いいじゃない。普段戦士としてのいかつい格好だけじゃなくて、たまにはこんなのを着てみるのも」
「冗談じゃない。ジョーになんて言われるか・・・」
「あら、でもあの子ならあなたの姿見て喜ぶわよ。だって、あなたのこと大好きじゃないの」
「えええっ!?ジョーが!?」
メーム夫人の言葉にシリカは信じられないように声を上げる。
いつも口を開けば喧嘩ばっかりしているのに、さっきだってテラスから中庭に突き飛ばしたばっかりなのに、シリカには到底メーム夫人の言葉を受け入れられなかった。
ところが、メーム夫人もフームもシリカの言い分を信じなかった。
「さっきだって、あの子、あなたの声聞いて一目散に駆けつけてきたでしょ。よっぽど心配で気になったんでしょうね。結構勇気がいるのに、あんなに早く走ってきて・・・。私のパームなんかとてもあの子のようには出来ないわ」
「そうよ、シリカ。羨ましいくらいじゃない、そんなに大事に思ってもらえて駆けつけてきてくれて。私だってそんな風に駆けつけてくれるような王子様欲しかったわよ」
ちょっぴり拗ねかけたフームにメーム夫人は「そのうちいい人が現れるわ」とフォローをしている。
シリカは慣れない煌びやかなドレスを見つめた。
ドレスは綺麗な水色、その色がナックルジョーのペンダントの宝石を彷彿させる。

『どうした、シリカ!!』

駆けつけてくれたときも、ナックルジョーの首元にはペンダントがかかっていた。
真剣そのものの表情、いつだってまっすぐな視線はシリカを見て離さなかった。
あの時は恥ずかしくて思わずあんな態度を取ってしまったけど、ナックルジョーはシリカのことをとても心配してくれていた。
シリカは着ているドレスを手に取ると、そっと二人に囁きかける。
「フーム、メーム夫人。一つ、頼みが・・・」




出発の時間、屋上に止めてあった宇宙艇でナックルジョーを待っていたシリカは普段の戦闘着だった。
いつも通りの格好にナックルジョーは意表を突かれたのか頭を掻いた。
「なんだ。もう着替えちまったのか、せっかく着せてもらったのに」
「あんな格好で魔獣と戦えるわけ無いだろ。これでいいんだ」
「もらってたまに着るくらいはいいと思うけどな」
たまには女っ気も出さないと、と口に出したナックルジョーにシリカは口元を緩める。
そして、宇宙艇に一足先に乗り込みながら胸を反らして自信満々に告げた。
「あの服は手直ししてもらうことになってる。私が着るのはそれが終わってからだ」
「手直し?」
首を傾げたナックルジョーにシリカは手を伸ばすとまだ自分より低い位置にある頭を撫でた。
そして大人びた笑顔を見せて笑う。
「ジョーが私よりも大きくなったら教えてあげる」
「あっ!また俺のこと子供扱いしやがって!!」
「悔しかったら早く私に追いついてごらん」
「言ったな!見てろ、今にシリカなんか追い抜かして逆にシリカの頭見下ろしてやるからな!!」
ナックルジョーの言葉にシリカはふっと表情を緩める。
その表情は普段からシリカを見慣れているはずのナックルジョーでさえ思わず見とれてしまうくらい女らしくて艶めいていた。

「・・・待ってるからね」

(あの時勢いよくドアを蹴破ったときのように、あなたが大人へと蹴破って駆けつけてくれるまで・・・)







ナックルジョーとシリカが立ち去った後、メーム夫人とフームはシリカが預けていったドレスを手に裁縫針や新しいレースを手に奮起していた。
「ささ、フーム手伝ってちょうだい。またシリカが来てくれるまでに完成させないと」
「オッケー、ママ。シリカに似合うような素敵なドレスにしようね」
フームは探し当てた本のページから型紙を取り始める。
型紙の次のページには、ウエディングドレスの完成図が載っていた。
 

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