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ジョリカラバーの皆様、ごめんなさい!!(反省)
お題4.いつの間にか
を、本日書き上げました。
ラストスパートなので、4を前編・最後の5を後編としてクライマックスとして仕上げさせていただく所存です。
今度は間が空かないように頑張ります。
以下、拍手返信です。
リクエスト小説、こんなものでよろしかったでしょうか?
喜んでいただけましたら幸いです。
リクエスト内容が楽しい内容だったのでこちらも楽しく執筆させていただきました。
リクエスト、ありがとうございました。
応援ありがとうございます。
これからも頑張りますのでまたお越しくださいませ。
『It knew tears.』
(涙は知っていた・・・)
「ありがとな、シリカ・・・」
その一言を残して、ジョーは私の手を離れて行ってしまった。
ナイトメアが滅んだ後も、彼が残した魔獣は銀河中で暴れ回っていた。
銀河戦士団の生き残りは魔獣を倒すために銀河中に飛んで魔獣の征伐に勤しんでいた。
戦士の流れを継ぐ、若い次世代・ナックルジョーとシリカも銀河戦士団に所属し、若いながらも歴戦の戦士に劣らない活躍を見せていた。
果てしなく続くと思われた戦いももうすぐ終焉に近づくと思われた頃、その日は突然やって来た。
「ワムバム一族?」
「魔獣の中でも特に屈強と呼ばれる岩石の体を持つ一族だ。弱点も掴みにくく、戦士団の一兵卒にはとても任せきれない。だから、二人に私の補佐を頼みたいと思うのだが・・・」
戦士団でタッグを組んで活動していたジョーとシリカにオーサー卿直々の声がかかった。
殆ど狩り尽くしたと思われた魔獣だが、まだ生き残っているものがいるらしい。
戦士団リーダーであるオーサー卿の話によると、生き残りワムバム一族は魔獣の中でも最高クラスの強さで、たびたび戦士団も討伐に向かっているが、未だに討伐できていないまさに難攻不落の最後の砦だった。
だが、手出しが難しいとはいえそのまま放っておくことは出来ない。
ついにオーサー卿自らが征伐に向かうことになった。
そして、彼がヘルパーとして白羽の矢を立てたのが、戦士団最強戦士の血を受け継ぐジョーとシリカだった。
戦士団リーダーの声掛けに二人は目を輝かせた。
「俺なんかで良かったら、喜んで!!」
「お任せください!オーサー卿!!」
「・・・では、頼りにしているぞ」
内心、辞去されるのではないかと心配していたオーサー卿だが、逆に自信満々で嬉々としている二人にほっと胸をなで下ろした。
年に似合わぬ実力と勇気、それはかつての盟友に通ずるものがあった。
数刻後に出立する、と告げて部屋を後にしたオーサー卿を見送った二人はやった、と手を合わせて喜んだ後、大きく息をついた。
「・・・もう少しだな。この戦争が終わるのも」
「長かったけど、これでもうすぐ母さんの悲願も果たされるわ」
「俺の親父にも満足してもらえるよ。いっぱい辛い目にもあったけど、これで幸せな世界になれる・・・」
志半ばにして亡くなったそれぞれの親たちに思いを馳せるジョーとシリカ。
大好きだった親たちの悲願がもうじき果たされる、それは2人にとって何よりも喜ぶべき事であり、そして意志を継いだ自分たちにとっても何よりも代え難い喜びだった。
それは、同時に戦士としての終わりも意味していていた。
「なあ、シリカ・・・」
「ん?」
「平和になったら、お前何がしたい?」
平和な世の中に武器や力は不要。
戦乱さえ終わってしまえばジョーもシリカも新しい生き方を探すしかない。
ジョーの言葉にシリカはちょっと驚いたように目を見張って、それから少し考え込む。
「うーん・・・、そうね・・・。戦士じゃなくなったら、フームみたいに普通の女の子の生活してみようかな?」
「へえ、いいんじゃねえか。普段女らしさのかけらもないわけだし!!」
「何ですって!?」
ジョーに茶化されてシリカは眉をつり上げた。
「じゃあ、ジョーは何がしたいわけ!?」
「俺か?」
「そう言うジョーこそ、空手ばっかりで戦う以外は何も出来ないんじゃないの?」
嫌みをふんだんに含んで言い募るシリカだが、ジョーは微かに笑うだけだった。
いつものように軽く鼻をこする。
「俺は、静かな人里で隠遁生活する。元々争乱はそれ程好きじゃねえし。それに・・・」
「それに・・・?」
言いかけたジョーの言葉を引き継いでシリカは先を促す。
だが、そこでオーサー卿から出発準備が整ったと連絡が入った。
話はそこまで、2人はすぐさま宇宙艇へと向かった。
「スマッシュパンチ!!」
『!!』
ジョーの渾身の技がワムバムロックの止めを刺した。
巨大な岩石巨人は断末魔の叫びを残して消えてしまう。
敵は他にはいないようだった。
「やったわね!ジョー」
「見事な腕だ」
他の残党を征伐していたシリカとオーサー卿がジョーの元へ駆け寄る。
2人ともあらかた敵を始末し終えたようだった。
特に怪我した様子もなく、ジョーはほっと息をつく。
「2人とも、無事か?」
「当たり前じゃない。ジョーにだけおいしいところ、渡さないわよ」
シリカはジョーの言葉に自信満々に答える。
しかし、オーサー卿は油断なくあたりを見渡した。
「(変だ・・・、殺気がまだ消えていない・・・。それに、あの連絡にあった存在は・・・)」
オーサー卿直々にこの討伐を買って出たのは、一度この星に派遣した戦士団一隊が壊滅させられたからだ。
辛うじて生き残って無線で呼びかけていた戦士の報告、『輝く巨人が、敵わない。三つの、眼・・・』通信はそこで途絶えた。
オーサー卿にはそれが重要な手がかりになると踏んでいた。
だが、それに該当するような敵は見つからない。
「(まさか!!敵はまだどこかに潜んで・・・)」
オーサー卿がそう思って油断なくあたりを見渡した。
するとジョーの背後、暗闇からキラキラと光る何かがいる。
それは、煌めく巨大な石の手をジョーに向けて振り下ろす。
「ジョー!!」
「!!ジョー、危ない!!」
側にいたシリカがジョーを逃がそうとその場から押し出す。
転がされて危機を脱したジョーは今し方自分を襲ったその全貌を目の当たりにした。
光り輝く石・ダイヤモンドで出来た体にぎょろりとした三つの目がジョー達を捉えている。
これこそ、戦士団一隊を壊滅させ、ワムバム一族の頂点に君臨する王・ワムバムジェルだった。
「こいつは・・・!!」
「これが、ワムバム一族の秘密だったのか!!」
想像を遙かに上回る存在にオーサー卿も驚きを隠せない。
ワムバムジェルはワムバムロックなど及びもつかない威力と技で襲いかかってきた。
一度ワムバムジェルの攻撃を回避したジョーはその視線の先の存在に目を奪われた。
「シリカ!!」
さっきジョーを庇ったときに怪我でもしたのだろうか、シリカはその場に倒れて動かなかった。
ワムバムジェルも近くで倒れている敵に気がついたのだろう。
シリカを握りつぶそうと手を差しのばす。
「!!させるかっ、バルカンジャブ!!」
すぐさまワムバムジェルの前に立ちはだかったジョーは素早い連続技を何度も相手に打ち込む。
だが、ワムバムジェルはその猛攻をものともせずに手を伸ばす。
ギイン!!
「オーサー卿!!」
「ここは私が食い止める!ジョー、シリカを早く!!」
間一髪でワムバムジェルの攻撃を止めたのはオーサー卿だった。
ジョーはシリカを抱えるとすぐさま無数の岩場の影に隠れた。
しばらくして敵の目くらましに成功したオーサー卿も同じ場所に駆け込んでくる。
シリカは気を失っているだけ、命に別状はない様子だった。
それを確認したジョーの口から自然と安堵の息が漏れた。
「しかし、厄介だ。奴の体はダイヤモンドが主成分らしい。どんな攻撃も応えないはずだ」
「くそっ!!弱点らしい弱点もねえってのかよ!!」
思っても見なかった強敵の出現にさすがのジョーも苦虫を噛みつぶす。
今は安全を確保しているが、見つかるのも時間の問題だった。
このままじっとしていてはやられるのを待つだけ。
ジョーは気を失ったままのシリカの髪をそっと撫でつける。
「(・・・・・)」
「くそっ、せっかく出てきた奴をここで逃すわけにはいかないが・・・」
オーサー卿は忌々しげに舌打ちをする。
さっきの連係プレーで多少はダメージも負っているはず、ここで取り逃がしては奴を倒す機会は失われてしまう恐れがあった。
「オーサー卿、俺に考えが・・・」
ジョーはワムバムジェルを観察していて思いついた作戦を提案した。
最初は期待して耳を傾けていたオーサー卿だが、その顔色がみるみるうちに変わっていく。
ばかな、と思わず遮ったがジョーはてこでも譲らない。
しばらく問答は続いたが、最終的にはオーサー卿が折れた。
苦悶の表情を浮かべて承諾したオーサー卿に、ナックルジョーは深く頭を下げた。
「・・・う」
それまで気を失っていたシリカは重い頭を抱えて起き上がった。
そこはどこかの岩場の影、側にはジョーとオーサー卿がいる。
遠くから聞こえる轟音はワムバムジェルに違いない。
今にも飛び出そうと構えていたジョーはシリカが気がついた事に少しぎくりとした表情を浮かべる。
シリカは愛用の銃を取り出すとジョーの側に駆け寄った。
「シリカ、おま・・・」
「奴を倒すんでしょ。ジョーだけにいい格好させないわよ。私も行く!!」
「バカッ!!来るな、お前はまだ寝てろ!!気絶してたんだぞ!!」
「何言ってんのよ。さっきジョーを助けてあげたのは私でしょ。一人じゃ無理なんだから私も行くわよ。パートナーでしょ!!」
「バーロー!!奴は今までの奴らとレベルが違う!!下手したら死ぬぞ!!」
「死ぬのなんか怖くないわよ!!そんなことより、私は・・・」
ムキになって言い返そうとしたシリカはその言葉を遮られた。
最初出会った頃、シリカよりも遙かに子供で背の小さかった少年だったジョーは既にシリカを抱きすくめられるくらいにまで大きく成長していた。
ジョーはシリカを抱きしめたまま続ける。
「・・・シリカが俺を庇ったとき、シリカが死ぬんじゃないかと思ったら、怖かった」
「え・・・?」
シリカが初めて聞いたジョーの弱気な言葉。
思わず顔を上げてジョーの顔を見る。
ジョーは穏やかに笑ってシリカの髪を撫でた。
「今まで、ずっと一緒にいてくれて・・・。ありがとな、シリカ・・・」
まるで、最後の別れのような台詞。
いつもと違う違和感にシリカが気がついたとき、ジョーは既にシリカを振り払ってワムバムジェルに向かっていった後だった。
「ジョー!!・・・っ!!」
後を追おうとしたシリカを引き留めて反対側に連れ出したのはオーサー卿だった。
シリカは必死に暴れるが、オーサー卿はその手を頑として離さない。
「離してください、オーサー卿!!私もジョーの助太刀に!!」
「今お前がジョーの元に行っては、ジョーの気持ちを無駄にすることになるぞ!!」
「そんな・・・!!」
オーサー卿のいわんとする事を飲み込めたシリカの顔から血の気が失せる。
それと同時にジョーが向かっていった方向からワムバムジェルの断末魔の叫び、そして凄まじいほどの爆煙が上がった。
振り返ったシリカの目の前には火の海が燃え広がっている。
だが、広い火の海を見渡してもジョーの姿はどこにも見あたらない。
「嘘よ・・・、嘘でしょ・・・」
現実を受け止められない。
瞳からは現実を否定するように涙がいくつもいくつも露を結んでこぼれ落ちていく。
『あいつはダイヤモンドの体を持つっていっても、所詮は鉱物。同じ場所を集中してぶったたけば奴だって耐えられないはず・・・。俺が奴にぶつかって止めを刺す』
『だが!それをしてはジョー、お前の身が!!』
倒した後、ワムバムジェルがどうなるかわからない。
もし、道連れにするような事があればジョーの命の保証はない。
オーサー卿は頑として承知しなかった。そして、その役は自分がやるからジョーとシリカで逃げろと言ったが、ジョーは首を振った。
『オーサー卿がここで死んだら、俺たち戦士団のみんなに顔向けできねえ。それに、オーサー卿にはシリカが俺に付いてこないように、ちゃんと守ってて欲しいんだ。シリカ、俺のお守りだって言わんばかりに絶対に付いてくるから、シリカまで道連れにしないように、お願いします』
そう言ってジョーはオーサー卿に深く頭を下げる。
その様子にジョーの覚悟の程が見えた。
きっと承知なくてもジョーは一人突っ切って行ってしまうだろう。
『・・・お前は、それでいいのか?』
『俺は、みんなが幸せな世の中で暮らしていけたら、それで満足っす』
ジョーは本望と言わんばかりに笑ってから、シリカの髪を撫でた。
豊かで長い綺麗な髪、戦士であるがゆえに普通の女の子のように飾り物もいっさい施したことのない髪をジョーは愛おしむように撫でる。
『・・・シリカが普通の女の子になったところ、俺も見たかったな』
「(私は・・・、バカだ・・・。あんなに側にいたのに、あんなに近くにいたのに・・・)」
涙が溢れて止まらない。
母が真だと知ったときでさえ、こんなに泣いた覚えはないのに。
ジョーなど、ただの友達、年下の生意気な男の子だとしか思っていなかったはずなのに・・・。
「(今更になって、ジョーのこと、こんなに好きになってた事に気付くなんて・・・)」