★ 誕生日を知っているのってとても幸せなことだと思う

『雪の願い屋』の初雪草様のサイトにて掲載されたオリジナルキャラクター『ツキル』が可愛かったので・・・。
便乗ＯＫとのお言葉を頂きましたので、小説で便乗させていただきました。



偶然にも本日は初雪草様のお誕生日ということもありまして、お誕生日ネタで。
初雪草様、こんなお祝いでよろしければお受け取りくださいませ。
作中にも書きましたけど、お誕生日って知っている事自体が誰かに愛されて望まれて生まれたって証拠だから幸せ・素敵な事なんですよね。


ちなみにレグルスの誕生日は秘密です。
知りたい方は『誕生星』をwikiで検索して、『レグルス』を探せばわかります。

【拍手返信】

クウラ様：返信がめっきり遅くなって申し訳ないです。気を遣わせてしまったようでごめんなさい。お持ち帰りありがとうございます！！これからも残る二つのお題、消化しますのでＵＰしたときも持ち帰り許可しますので気に入られたら遠慮なくお持ち帰りくださいませ。わわわ、掲載していただけるのですか！？喜んでいただけただけでも嬉しいのに、お目汚しでなければどうぞ！！では、これからもジョリカ同盟頑張っていきましょう！！二周年記念楽しみにしております。

『When is your birthday?』
（誕生日はいつ？）

「カービィのお家ってかわいいね～」
「ぽよっ♪」

天気の良い日、フームからカービィにお遣いを頼まれて初めてカービィの家にやってきたツキルはちゃっかり中に入りながら部屋の様子を興味深く眺めている。
カービィは自分の家が褒められた事と、ツキルが持ってきてくれたお菓子に満足そうに笑う。
初めてププビレッジに来たとき、みんながカービィを温かく迎えてくれて作ってくれた大事なお家。
そこはもうカービィにとって大事な場所だから、褒められると嬉しかった。
ツキルはよっぽどカービィの家の様子が気になるのか、あちこち見て回っている。

と、戸棚にキレイにラッピングされた大きな棒付きキャンディを見つけた。
星の形をしたものが付いていて、キラキラ光っている綺麗な飴だった。
好奇心をそそられてツキルはそのキャンディを手に取った。
「綺麗な飴だね～」
「ぽ、ぽゆっ！！」
ツキルの手に握られたキャンディを見つけたカービィは慌ててツキルの手からキャンディを取り返した。
そして、キャンディを自分の後ろに隠して首を振る。
「ぽーよっ！ぽよぽよ！！」
「食べちゃ駄目って？」
「ぽよ！」
ツキルの言葉にカービィは大まじめで頷く。
あまりに真剣な表情にツキルは「食べないよ～」と請け負うと、それを証明するように手をひらひらと振った。
それを見たカービィはほっと肩の力を抜くとキャンディを元の戸棚にしまい込んだ。
「でも、珍しいね～。カービィが食べ物を大事に取っておくなんて」
「ぽよ？」
「フームやデデデ曰く、カービィは食い意地の張ったブラックホールの如くって聞いてたからさ」
先日、魔法でカービィの食欲を抑えられないかとデデデに聞かれてツキルは首を振った。
そんな魔法は存在しないし、よしんぼ使えたとしてもカービィには吸い込みが残っているから意味はなかった。
ツキルの言葉にカービィはキャンディを持つと嬉しそうに話し始めた。
「ぽよぽよ、ぽよよ、ぽゆい、ぱあゆぱゆ、ぽゆぅ・・・」
「誕生日プレゼント？メタ卿からの？」
「ぽゆっ」



４月の２７日、その日はカービィの誕生日だった。
カービィは知らなかったが、メタナイト卿が教えてくれた。
お誕生日、自分が生まれた日。
その日はフーム達がカービィの誕生日を祝ってくれた。
いっぱいプレゼントももらって、いっぱいおいしいものを食べて、いっぱい遊んで、とても楽しい一日だった。
お祭りのような賑やかな日も終わりに近づいた頃、メタナイト卿が持ってきてくれたキャンディ。
カービィへのプレゼントと言って渡してくれたキャンディは「特別なものだから、どうしても元気が出ないときだけ食べなさい」と言っていた。
だからカービィはちゃんとその言いつけを守って大事に取っているのだという。



「言うことちゃんと守ってるんだ！えらいねえ、カービィ」
「ぽ～よっ！」
「そっか～、こないだが誕生日だったんだ～。惜しいなぁ、もーちょっと来るのが早かったらカービィに何かプレゼントあげたのにな～」
もちろん魔法で☆と締めくくったツキルは指をくるくると回す。
魔法の修行のためにツキルがプププランドに来たのは一週間前、もちろんカービィの誕生日は通り過ぎていた。
すると、今度はカービィがツキルに話しかける。
「ツキル、ぽよぽよぽゆい？」
「えっ？ツキルの誕生日？」
「ぽよ」
「ん～、わかんないよ。だって覚えてないもん」
「ぽえ？」
ツキルは誕生日を知らない。
自分がいつ生まれたなんて、赤ん坊にわかるわけがないし、いつ生まれたかも知ってる人もいなかった。
誕生日を調べる魔法は、あるかも知れないがツキルはその魔法もまだ習っていなかった。
「まあいいじゃん。知らなくたって損はないし、ツキルはいるんだから」
「ぽゆう！」
「えっ？駄目だっての？」
「ぽようっ！ぽよぽよ・・・！ぽよっ！！ぱあよっ！！」
何かひらめいたらしいカービィは目を輝かせて手をぽん、と打った。
そして壁のカレンダーに水色のペンを片手に向かう。
次の年の５月２４日、その日をぐるぐるとペンで囲って丸付けた。
「ツキル、ぽおよぽよっ！！」
「えっ？ツキルの誕生日って！？・・・あっ」


カービィがツキルの誕生日、と言った日。その日はツキルに覚えのある日だった。
忘れもしない、あの嵐の日。
散々な目にあってこのプププランドに初めてやって来て、そしてカービィ達と会ってお友達になったツキルにとって思い出深いあの日だ。

「ぽよぽーよ、ぽよぽよ。ぽあよ、ぽよー！！」（僕たちが会った日がツキルの誕生日、これからは一緒にお祝いしようね！！）

楽しい日はいくらあってもいいんだよ、と笑うカービィにツキルも笑った。
「そうだね！！その日はツキルも魔法でいっぱいお祭り騒ぎしよう！！」
「ぱあよっ！！（楽しみだね）」

翌日。
「何ゾイ！！これはー！！」
派手にコーディネートされたカレンダーにデデデは声をあげた。
それも５月２４日の一日だけ、どの祭日よりもキレイにコーディネートされている。
ちなみにそれはデデデのカレンダーのみに止まらず、城内のカレンダー全てに全く同じコーディネートが施されていた。
こんな芸当を一日でしでかす犯人は一人しかいない。
「こりゃあ！！ツキル、これは何のつもりゾイ！！ワシの誕生日や感謝の日よりも派手にしよって！！」
「いや、誰も陛下の誕生日なんか祝いたくないけど・・・。それより、ツキル何でこんなしょうもない悪戯したか、素直に白状するでゲス」
「だって、その日はツキルの誕生日だもん」
「んあ？誕生日！？」
ツキルの言葉にデデデもエスカルゴンも目を丸くする。
ツキルは嬉しそうに飛び跳ねながら笑顔で続けた。
「カービィが決めてくれたんだ～♪ツキルが来た日がツキルの誕生日って」
「デデっ！？あの日！？」
「あの日を誕生日として祝う！？冗談じゃないでゲス！！あの日は大災厄日でゲス！！」
すぐに取り消せーっ、とツキルに飛びかかったデデデだがツキルは箒・セイントバードにまたがるとデデデの突進を難なくかわしてしまう。
かえって「ここまでおいで～」と挑発して、箒で逃げるツキルと追いかけるデデデとエスカルゴンでその場は鬼ごっこになった。

「やはり、犯人はツキルか」
「そうよね。でも、これくらいなら良いんじゃないかしら？」
デデデの部屋の前でツキルを探していたメタナイト卿とフームはその場の光景にため息を付いた。
もちろん、両者の手にはツキルの魔法の影響を受けたカレンダーが握られている。
フームの言葉にメタナイト卿はため息混じりに笑った。