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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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クウラ様のランドマークが2周年を迎えましたので、2周年記念のお祝いとして書かせていただきました。ジョー×シリカです。
・・・でも、誕生日祝いもそうだけど、お祝い小説ってどうしてこうレグはシンクロさせたがるんだろう。;;

『現実とフィクションがごっちゃになってるでゲスな!!』(by:エスカルゴン)


嫌でしたらすみません。m(_ _)m



ジョーの声優さんがT山mnmさんなので、時々KNN君とキャラが被るアクシデント。(アウチ)
だって、ジョーも肉弾戦派に似合わないくらい賢い所があったり、頭冴えてたりするから・・・。(責任転嫁)orz
ナイトメアだけでなく、メタまで騙すとは・・・。恐ろしいほどの策略家です・・・。



クウラ様、こんなものでよろしいでしょうか?
気に入らなければ書き直しますので遠慮なくお申し出くださいませ。

『Coming where it returned』
(ただいま)



『ひあっ~~~~~~くしょんっ!!!!』
「ちょっ、やだ。風邪引いたの!?」
受話器越しに飛んできた盛大なくしゃみにシリカは眉根を寄せた。
吹き込み口から唾の飛沫が飛んでくるわけでもないのに、思わず受話器を耳から離す。
そして電話の相手、ナックルジョーにいつも通り厳しい口調でさっきくしゃみによって遮られた話の続きを始めた。
「早くやること済ませて帰ってきなさいよ、ジョー!挙げ句風邪引いて足止め喰らうなんてバカみたいじゃない!!」
『うるせーなっ!しゃーねえだろ、今回の任地は年がら年中極寒の冬星なんだぜ!今はチリーの所で世話になってるけど』
「で?任務は終わったの?」
『・・・ああ。殆ど全部片付けた』
「そう、じゃあ、明日には絶対風邪直して帰ってきなさいよ。いいわね?」
『ちょっ、明日って・・・』
言いかけたジョーの言葉を遮ってシリカは受話器を置いて通信を切った。
銀河戦士団リーダーのオーサー卿の依頼でジョーが単身極寒の星・ドラードゥスに向かったのは二ヶ月前、いつもはジョーと行動を共にしているシリカだったがこの時ばかりは他の任務が重なって一緒に行けなかった。
ドラードゥスは年中雪と氷に閉ざされた未開の地、いつもはモニターで顔を見て話をするのに、その手段もなく一番古い電話という通信手段しかない。
かれこれシリカはジョーの顔を二ヶ月近く見ていなかった。
ジョーがいない二ヶ月間、シリカは二人で過ごしている宇宙艇で帰りを待っていた。
一人で行動していた頃はさほどでもないと思っていた宇宙艇だが、ジョーがいないとひどくその空間が広く、静かになった気がした。
シリカは椅子に深くもたれると、側のデジタルカレンダーに目を止める。
明日は5月27日・・・。
「帰ってこなかったら、承知しないんだから・・・」



「あっ!おい、シリカ!?もしもしっ!!」
一方的に通話を着られたジョーは鼻をすすりつつ、受話器に向かって声を張り上げる。
だが、帰ってくるのは電話の無機質な機械音のみ。シリカの声はもう聞こえなかった。
受話器に盛大にため息を付いてジョーは通話終了のボタンを押した。
「・・・ったく、シリカの奴。たまに連絡入れてやったらこれなんだから」
一方的に言いたい放題言われて挙げ句通話を切られたジョーの眉が潜められる。
忙しくて連絡を全然入れていなかったときは、散々心配かけたようで受話器越しでもわかるくらい泣き出しそうな声をしていた。さすがにそれがあまりにも気の毒だったので、今度は一週間に一度くらいの頻度で連絡を入れるようにしたら、今度はこの結果だった。

(ほんっと女って厄介で訳わかんねえ・・・)

風邪で熱っぽくなったため息が大きくジョーの口から吐いて出た。
「大丈夫?風邪ひどいんだから、あまり無理しちゃいけないよ」
「ああ、わりい。もう終わったよ、電話ありがとな。チリー」
現地で協力してくれたチリーに礼を言いつつ、ジョーは電話を返した。
ジョーがかつて戦地となっていたこの星の探索任務を受けて早くも二ヶ月、最初はもっと時間がかかるはずだったが、この星に在住しているチリーはジョーに快く手を貸してくれた。
元々表だって行動はしなかったが、銀河戦士団を応援して援助物資の提供や戦士団員の介抱などは進んで行っていたのだという。
数週間前、任務途中で風邪をこじらせたジョーを自宅で介護してくれたのもこのチリーだった。
「明日帰るって?まだ、その調子じゃ無理なんじゃないかな?」
「平気だよ。あいつ、ああみえて結構ワガママだからさ。帰らなかったら、何言われるか。それに・・・」
咳にその先の言葉を遮られても、ジョーは探索器具をまとめた荷物の方を見る。
その内の一つを手に取ると嬉しそうに頬を緩めて、それを握りしめた。
「早く、あいつにこれを持って帰ってやりたいんだ」





約束の次の日。
シリカはいつも起きる時間よりも1時間早く目を覚ますと、宇宙艇のメンテナンスや諸業務を全て片付けにかかった。
そして作業の傍ら、絶えずモニターの様子を確認してジョーが乗った宇宙艇が帰ってくる様子がないかチェックをする。
やることも一通り済ませて落ち着いた頃、シリカは思い出したように自分の引き出しを開ける。
そこに入っていたのは、少し汚れて色褪せてはいるが、ジョーがいつも頭に巻いているバンダナだった。
シリカはそれを手に取ると、懐かしむようにそれをさする。

(・・・もう、今日でちょうど二年になるのね)

初めてジョーと出会ったとき、負傷していたシリカにジョーが巻いてくれたバンダナ。
包帯に取り替えても、シリカの怪我が治っても、シリカはそのバンダナを捨てられずに大事に持っていた。
バンダナの端にはシリカの文字で『5月27日』、その後ろにはジョーの文字で彼の名前が書かれている。
今日はシリカにとって忘れられない、ジョーと初めて出会った日だった。
この日以来、二人はいつだって一緒に行動を共にし始めた。
最初は衝突ばかりしていたけど、いつしかそれが当たり前になって、今では一人でいた頃の生活などもう考えられない。
それくらい、かけがえのない存在になっていった。
だから、初めて出会えたその日くらいはせめて一緒にいたかった。
子供っぽい言い分にせよ、少しはワガママも言いたかった。



だが、時間は刻一刻と過ぎていく。
ジョーの宇宙艇が帰ってくる様子もないまま、時間はもうその日の残り1時間を切っていた。

(やっぱり、帰ってこられなかったの・・・?ジョー)

時間が過ぎるのを黙って見守っていたシリカはうつむいて視界から離した。
無理なお願いだったことはわかっている、それでも心のどこかでジョーが帰ってきてくれる、今日が何の日か覚えてくれていると期待していた。
だが、その期待を裏切るように時間は過ぎていってしまう。
もう後残り、十分程度。
ジョーは帰ってこない、そう思ってシリカが諦めかけた時・・・。


『バチバチバチバチ!!』


「!?」
転送用の装置がシリカの操作無く作動した。
まばゆいほどの電流がその場に迸る。
転送が終了に近づくと、光は徐々に人のシルエットに変わっていく。
「・・・ギリギリ、セーフ。・・・だよな?」
「ジョー!!」
転送装置の転送台に現れたのはジョーだった。
あまりに意外な帰還にシリカも呆気に取られてしまったが、力尽きたように転送台から転げ落ちたジョーに慌てて駆け寄る。
顔は熱で赤く、試しに手を額に当てるとかなり熱かった。
「わりい、遅くなって。宇宙艇のエンジンが、冷気で凍ってさ、使えなくなっちまったから、銀河系の転送ネットワーク、ハッキングしながら帰ってくるしか無かったから、手間どっちまった・・・」
「そんなことより、ひどい熱よ!風邪ひいてたのに無理するから!!」
「・・・帰って来いって言ったの、シリカだろ」
「そこまで無理して帰ってくることないわよっ!体壊したら元も子もないじゃない!!」
昨日電話したときとはうって変わったシリカの言葉にジョーは苦笑した。
だが、すぐにその表情を納めるとゆっくりと安心させるように笑う。
「俺は帰ってきたいときに帰るんだよ。それに、今日は俺たちが会った、大事な日だからさ・・・」
「・・・ジョー、覚えてたの?」
シリカの頬が微かに赤くなった。
呆然としているシリカにジョーはにやっと笑う。
そして生意気そのものの口調で続けた。
「バーロー、俺が気がつかないわけないだろ。あんだけ子供みたいに駄々こねられたらバカでも気付くって。それに、帰りが遅くなったのは、この日の為でもあったんだ」
「えっ?」
意外な言葉にシリカは目を丸くする。
ジョーはフラフラしながらも立ち上がって自分と一緒に転送された荷物に手を伸ばす。
しばらく中身を探っていたが、ようやくお目当てのものが見つかってそれを取り出した。
手のひらに納まる程度の大きさのそれは、何かの機械のようだった。
「なに?それ?」
「向こうで世話になったチリーが持っていたもんだ。大戦中に見つけたって言ってた。ガールートの紋章が付いていたから、大事に保管していたらしいぜ」
「母さんの!?」
つまり、シリカの母の遺品。
シリカはジョーの手に載せられた機械を見つめた。
だが、一体どのようなものなのか全く見当が付かない。
「何なの?これ」
「チリーも拾ったはいいけど、どういうものかはわかんなかったから飾ってあるだけだった。だから、俺が解析して調べてどんなものか教えてやるって条件でもらったんだ。結構厄介で調べるのに時間かかったけどな」
本来一ヶ月で帰るはずがこれほど遅くなったのはその為だという。
だが、その甲斐あってジョーは解析に成功し、持って帰ることができた。
「こいつは、昔戦士団で使われてた機密情報用のレコーダーだったんだ。大事な情報をこいつに録音したら、あとはこいつが聞かせる人の所に飛んでいって伝えてくれる。だけど、途中でトラブルに巻き込まれたぽくて、届かずチリーの所に漂着したんだ」
「母さんは、誰にそれを渡そうとしてたのかわかったの?」
シリカの言葉にジョーは笑って、そのレコーダーのメモリーをコンピュータに差し込んだ。
そしてシリカにヘッドホンを付けるように指示すると、再生ボタンを押した。
旧式で若干ノイズ混じりだが、それでもヘッドホンから聞こえるのはシリカにとって懐かしい母の声だった。


『シリカ。元気にしていますか?お誕生日おめでとう』


(母さん・・・。これ、私に・・・)

それは、母ガールートがシリカに宛てたメッセージだった。
シリカに送る途中、戦乱に巻き込まれて結局娘の元には届かなかった言葉。
だが、ジョーが調べた所吹き込まれた内容は奇跡的にも全て無事だった。
大切だった母の言葉、それを託せないまま終わりにするわけにいかず、ジョーは復元作業にも任務の傍ら必死に取り組んだ。
その無理が祟って風邪をこじらせたのだが、ヘッドホンから聞こえる言葉に耳を傾けているシリカは幸せそうに微笑んでいる。それだけで充分だった。
『俺は疲れてるから先に寝るぜ。後始末は頼んだ』
シリカの邪魔をしないように口の動きでそれを伝えると、ジョーは部屋を後にして自室へ向かってしまう。
その後ろ姿を見送っていたシリカの耳には母の言葉が聞こえている。


『お母さんは戦士団で大切な仲間と今度、二人で任務に行くことになりました。でも心配しないで。彼は若いけどとても優秀で強いから、お母さんも安心して戦えます。シリカも、いつか大切なかけがえのない人が出来るといいですね』


「・・・もう、いるわ。だから、安心して。お母さん」


シリカはポケットに忍ばせていたジョーのバンダナを取り出す。
そしてそのバンダナを愛おしげに頬に寄せた。

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