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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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本日から復帰します。
まだ、本調子ではないのですがさすがにこれ以上停滞するのは来ていただいているお客様に大変申し訳ないので・・・。
この数日間で沢山励ましのコメントや拍手を頂きました。
こんな管理人に応援の言葉を掛けてくださいました皆様に深く感謝いたします。
コメントの返信は後日、返させていただきます。


キリバンヒッターe6様のリクエストの一部が出来上がりましたのでUPします。
マリオファミリーベースです。


『Fantasia』



「自分たちが人形である」。
その事実はファイター達に大きな衝撃を与えた。
それ以上に大きなショックは、この作り物である世界ももうじき終わると言うことだった。
間もなく、この世界は静寂の時を迎える。



その事実を直接、その耳で聞いたマリオのショックは計り知れなかった。
ファイター全員にもその話を聞かせたが、その反応は様々だった。
それは長年の付き合いであるはずのピーチ姫やクッパでさえ顕著だった。
あれほど愛していると言ってくれたピーチは自分を、マリオをまるで知らない人でも見るような目つきで見ていた。同時に、あれほど恐れて側に寄ることを毛嫌いしていたクッパが側に近寄っても何も咎めなかった。
クッパも最初はマリオの質の悪い冗談だと笑い飛ばしていたが、それが事実だと知ると途端に落ち着きをなくして掴みかかってきた。だが、急にその手を止めたかと思うと頭を振って廊下を走り去っていった。剛胆と言われていたクッパ大魔王といえど、その存在を否定される恐怖には勝てなかったのだ。
時計の針の音、終焉を迎える時の音がやけに耳に触る。


「マリオさん」

「!!」
深い考えに囚われていたマリオは自分の名前、少なくとも自分はそう思っている、その呼び名に現実に引き戻された。
そこは見慣れた自分の部屋。
目の前にいたピットがマリオの顔を覗き込むように笑いかける。
膝に感じる重みは昼寝しているヨッシーの頭が乗っかっているせいだった。
「ぼーっとしてたけど、大丈夫ですか?」
「・・・ああ」
気さくに接してくれるピットに気を遣わせないように明るく振る舞う。
ピットは笑って、「お茶入れますね」と慣れた手つきでお茶を入れ始めた。
いつもと代わり映えのしない光景。
その中にいつもいる姿が見えないことにマリオは気がついた。
「おや?リンクとカービィは?」
「出かけてます。・・・心残り、ないようにしたいからって」
「!」
ピットの言葉にマリオは顔を上げた。
ピットはマリオのお茶を差し出しながら神妙な面持ちで続ける。
「辛いですよね。・・・僕たち、コピーだったなんて。ちゃんと、血も出るし、ご飯も食べてるのに・・・」
「神様の悪戯、か・・・。残酷なものだ・・・」
マリオはマスターハンドをよく知っている。
存在の全てを全部把握している訳ではないが、それでも戦うことで多少なりと相手の考えは読めているつもりだった。


好戦的で、革新的なことを望み、更なる刺激を追い求めている究極の愉快犯・・・。
神とはそんな子供のようで身勝手な存在なのかも知れない。
そして、作られたものは、その思いはどこへ向かうのだろう・・・。


マリオがまた深淵の闇を彷徨うような考えに囚われかけたとき、そっと肩に触れるものがあった。
視線を動かすとそのさきにはくせのある栗毛色の髪に金色の月桂樹冠。
ピットがマリオの肩に甘えるように頭をもたせかけていた。
「ピットく・・・」
「僕、マリオさん達に会えてよかった」
ピットはマリオの温度をしっかりと感じるように目を瞑って呟いた。
「きっと今の僕は、オリジナルの僕よりもずっと逞しくて大人になって強くなっている。だって、ヨッシーやカービィの面倒も見てきたし、リンクにも剣術や弓術も教えてもらった。それに何より、マリオさんって立派な先生に勇気と信念をもらったんだから・・・」
「ピット君・・・」
「初めて、僕がエンジュランドのピットじゃないって知ったとき、そのことは悲しかったけど、でも僕、エンジュランドに帰りたいともパルテナ様に会いたいとも思わなかった」
ピットは涙でにじんだ顔を上げる。
だが、その顔は嬉しそうに微笑んでいて、その目はまっすぐマリオを捉えて離さなかった。
「そんなことを考える隙間もないくらい、僕はマリオさんやみんなとの思い出や絆で満たされていたんだね・・・」
(ピット・・・)
ピットの言葉に自然とマリオの目からも涙がこぼれた。
最初は見ず知らずの素直な好青年くらいにしか思っていなかったが、知らず知らずのうちにまるで弟か甥っ子か、息子のようにかけがえのない大事な人になっていた。
例え、自分の記憶が他人のものを元にしたものであったとしても、この今ある思いと感情だけは紛れもなく自分ただ一人だけのもの。
今、触れているぬくもりは決して作り物の言葉で納まるような生半可なものではなかった。
マリオはその掌でピットの頭を撫でた。
「私も、幸せだよ。君のような、こんなに、優しい天使がいてくれて・・・。どんなに、君に私だって今まで支えられてきたか・・・。君が誰であろうと、君は私の大切な仲間だ・・・」
マリオの言葉にピットの顔がほのかに赤く染まる。
そして、まるで子供のようにマリオにもたれかかるようにして甘えた。
「ありがとう・・・。マリオさん・・・」




テーブルの砂時計の砂がこぼれ落ち続けている。
そして、最後の砂が地に落ちた。
 

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