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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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ランドマークのクウラ様への相互リンク記念小説です。
ジョリカということなので、お題『03.砂糖菓子のような笑顔』で書かせていただきました。


02はちょっといまいちだったけど、今回は献上しても大丈夫!!(・・・なはず;)
夏場は流星群があるので、先駆けとして書かせていただきました。


クウラ様、こんなものでよろしいでしょうか???
気に入らない場合は遠慮なくお申し出くださいませ。書き直します!!


『Night of Meteor shower』
(流れ星の降る夜に・・・)




「星降祭り?」
宇宙艇のメンテナンスをしていたナックルジョーは耳慣れない言葉に作業の手を止めた。
魔獣ハンターとして銀河を渡っている途中、燃料と食料を補充しにやって来た惑星ミルファクはちょうど祭りの時期にさしかかっているらしい。
その話を持ってきたのはナックルジョーと一緒に旅をして、食料の買い出しを担当していたシリカだった。
「百年に一度の大規模な流星雨が見られるお祭りなんだって!ねえ、せっかくだから見ていかない?」
「えー、本気かよ?大体俺等よそ者じゃねえか」
「星降祭りは周囲の星からも見物客で賑わうから旅人でも参加するには問題ないって教えてもらったわ。だから、参加してもいいでしょ?」
「ここは魔獣がいない平和な星だから、素通りしてすぐ戦乱中の惑星アルゴルに行く予定だったろ?」
とことん気乗りのしない声を上げるナックルジョーにシリカは胸の前でぱんっ、と手を合わせる。
「ジョー、おねがいっ!」
ぎゅっと目を瞑って懇願してくるシリカにナックルジョーもそれ以上強く反対することも出来ず、口をつぐんだ。
宇宙艇のメンテナンスや食料の用意、この星で済ませることは全部終わっている。
時計の針は午後四時を回った頃、祭りが始まるのは黄昏時以降の7時だと聞いていた。
出発するにしては慌ただしいし、もう少しもすれば祭りの時間だった。
ふっ、とナックルジョーは諦めたようにシリカに笑いかける。
「しゃーねえな。今回だけ特別に付き合ってやるよ」
「ほんと!?やった!ありがとう、ジョー」
オーケーが出てシリカはぱっと表情を輝かせる。
弾けるように笑ったその顔はいつもの戦士としていかめしいシリカとは想像もつかないほど、女の子らしい笑顔だった。




星降祭り。
それは百年に一度、この星ミルファクに訪れるほうき星のもたらす大流星雨の事らしい。
無数の星でその日の夜空は流れ星で埋め尽くされてしまうほどの規模だという。
周辺の星でも見られるようだが、ミルファクの祭りが一番賑わう理由の一つとして『星のしずく』と呼ばれる物があった。
通常流れ星は地上に着くまでに燃え尽きて消えてしまう。だが、何億とある流れ星の中でもたった一つだけ燃え尽きずに星として地上に届く星、それが『星のしずく』だった。
宝石よりも美しい輝きを誇る『星のしずく』はミルファクにしか落ちてこないのだという。
「それでここは星の形した物が多いのか」
「そうみたい。星のしずくは手に入れた人の願い事を叶えてくれるっていう言い伝えだから、それにあやかった物も多いんだって」
「へえ・・・」
買い出しの時に町の人から聞いた話をシリカは見物しながらジョーに話して聞かせた。
街は至る所に星を模したオブジェや物で溢れかえっている。
星以外の形を探す方が苦労しそうなほどだった。
「あ、あれなんだ?」
祭りの屋台のうち、軒先に置いてあった見慣れない機械にジョーが興味を示す。
楕円型の製造炉の様な機械、小さな煙突からは飴色の煙が漂っている。傍で職人らしき人がハンドルを回して動かしていて、その動きに合わせるように鉄製の炉から軽やかな音が聞こえてくる。
見てみよう、と駆けだしたジョーを追いかけてシリカも後に続いた。
「いらっしゃい」
「なあ、オッサン。何してるんだ、これ何の機械なんだ?」
興味津々で矢継ぎ早に職人に質問を繰り出すジョーの目は新しいおもちゃを見つけた子供のように輝いている。
愛想のいい職人はジョーと傍に駆け寄ったシリカに笑いかける。
「星の粒を作ってるんだよ。これはそれを作る機械さ」
「「星の粒?」」
わからない単語に同時に口に出したジョーとシリカに職人は笑って機械の底の部分、閉じられていた取り出し孔の蓋を開ける。
すると、せき止められていたそこから小さな色とりどりの星型のものが出てきた。
粒のように小さい星形をしたそれはまさに星の粒と称するに相応しい。
職人は幾つかそれを掴み取ると、ジョーとシリカに食べるように薦めた。
「あ!」
「オッサン、これって・・・」
「この祭りで一番人気のある砂糖菓子なんだよ。流れ星にあやかった、この祭りに一番相応しい菓子で、流れ星の時に見ながら食べるのがみんなの好きな食べ方なのさ」
だから、星の粒と呼ばれるのだという。
いたくその菓子が気に入ったのか、最初は祭りに乗り気ではなかったジョーはこの話を聞くと早速その店で売っていた一番大きな星の粒の袋を購入した。



「でも、こんなに買ってどうするつもり?二人で分け合っても一晩じゃ全部食べるのは無理よ」
「ん?」
祭りの流星雨の時間まであと三十分、菓子職人に教えてもらった一番見晴らしの良い丘で流星雨を待っていたシリカは横に置いてある袋の山にため息をついた。
勢いよくあの店で大量にまとめ買いしてしまったジョーはシリカの心配もよそに星の粒を囓っている。
少年らしい純粋な好奇心で職人から星の粒が出来るまでの工程まで詳しく聞き出したジョーは興味深く星の粒を眺めては口に運ぶ。それをさっきから延々繰り返していた。
結局花より団子、星よりお菓子か、と半ば呆れたシリカはジョーの持っていた袋を取り上げた。
「あっ!返せよ、シリカも摘んでいいんだぞ」
「もうすぐ流星雨の時間でしょ!それに、これ殆ど砂糖なんだから食べ過ぎたら糖尿病になるわよ」
「俺は肉弾戦派だから糖分沢山必要なの!!」
「だからって食べ過ぎは駄目!一日、袋半分までにしておきなさい!!」
「・・・ちぇっ、シリカのケチ」
シリカにストップを掛けられたジョーは横目で袋を見つつ口を尖らせた。
このままだと本当に砂糖菓子ジャンキーになりかねない、まとめ買いした袋の大半はポップスターにいるカービィ達のお土産として処分しよう。シリカは固くそう心に誓った。
時計を見ると七時まであと数分程度、流星雨が始まるのはもう間もなくだった。
空は月も星も見えないような闇色に一面染まっている。
本当に星が降ってくるのだろうか、菓子を取り上げられて手持ち無沙汰になってしまったジョーも空を見上げた。



ピ、ピ、ピ、ピピピッ!



時計がちょうど七時を告げた。
すると・・・。


「うわあっ!!」
「すごい!綺麗!!」
あまりの光景にジョーもシリカも思わず歓声を上げた。
さっきまで真っ暗な闇色の空は今、無数の流れ星で白みがかった七色に輝いている。
昼かと見間違えるくらい明るく煌々と煌めく、まさに星の大豪雨だった。
手をかざせば手に取れるのではないかと思うくらい細かい星は地上に近づくに連れて小さく粒子状の大きさになって弾けて消えてしまう。
消える前の流れ星は星の粒のお菓子にそっくりだった。
(なるほどな、それで星の粒か・・・。あっ!)
菓子職人の話を思い出したジョーはさっき開けた袋とシリカをちらっと見た。
シリカは流星雨に見とれて袋から注意が逸れてしまっている。
ジョーはシリカに気付かれないようにそっと袋に手を伸ばした。
(ごっそり持ってったら気付かれるから、ちょっとだけ・・・)
音を立てないようにそっと袋の口に手を掛ける。
口はあまり大きく開いてはいないが、拳一握りくらいは取れそうだった。


スコンッ!!


そんな音がしそうなくらい、何か固いものがジョーの頭に当たった。
不意打ちを食らう形になってしまったジョーは袋の中身をその場にぶちまけてしまう。
その音にシリカもようやくジョーが何をしようとしていたのか気がついたようだった。
「あっ!ジョー、何してるの」
「いてっ!何だよちくしょう!?」
ジョーはシリカの追求もお構いなしで、頭にクリーンヒットさせた犯人を捜す。
すると、地面に散らばった星の粒のうち一つ、一際大きくて星のように煌めきを放つものを見つけた。
拾い上げてみるとかなり固い、他にめぼしいものもないことからジョーにぶつかった犯人はそれに間違いなかった。
「これか!ったく、流れ星の癖に人様怪我させるつもりかよ」
「ジョー、待って!それってまさか・・・」
食べられるわけでもないその流れ星を投げ捨てようとしたジョーをシリカは慌てて止める。
流星雨の日、地上に届く流れ星はたった一つしかない。
ジョーの手の中で光り輝くそれは、どんな宝石よりも綺麗な光を放っていた。
「まさか、それが『星のしずく』?」
「えっ?マジで!?」
一億の星に一個しかないその貴重な流れ星は紛れもなくミルファクだけにしか落ちない百年に一つのだけの『星のしずく』だった。
それが今、ジョーの手の中にある。
「じゃあ、この流れ星、俺が取ったって事になるのか?」
「そうよ。やったじゃない!願い事、叶えてもらえるのよ!!」
シリカの言葉にジョーは手の中の星を見る。
しばらく考え込んでいるようだったが、不意ににやっと口元を緩めると星のしずくをシリカに向けて放った。
投げ捨てられそうになった星のしずくをシリカは慌ててキャッチした。
「いーらね、こんなもん。願い事なんか俺の趣味にあわねえよ、俺は自分の力で願い事叶える方が性に合ってる」
「だからって、そんな簡単に捨てることないじゃない!」
せめて取っておきなさい、とジョーに再び星のしずくを持たせようとしたシリカだが、逆に押し返されてしまう。
「じゃあ、シリカにやるよ」
「えっ!?」
思いがけない言葉にシリカの目が大きく開いた。
「元々、星降祭りに参加しようって言ってくれたのはシリカだ。シリカが言い出さなかったらそれが俺の手にはいることはなかったんだろうし、それにシリカは宝石みたいな飾り物一個も持ってないだろ。だから取っておけよ」
俺はこっちの方が好きだし、といつの間に取っていたのか星の粒を摘みながらジョーは笑う。
その言葉にシリカはとても嬉しそうな笑顔を見せた。
それは、ジョーが口にしていた砂糖菓子よりも甘く、幸せそうな笑顔だった。
「ありがとうっ、ジョー!!」





「えー、じゃあそれが星のしずく?いいなー」
ポップスターに訪れて、その時のお土産と話を持ってきたジョーとシリカに一緒にお茶会をしていたフームが羨望の眼差しを向ける。
あの時手に入れた星のしずくはペンダントにしてシリカの胸元で輝いていた。
カービィやブンはお土産の方、ジョーと一緒に星の粒に夢中になってペンダントには目も向けない。
手放しに褒められてシリカははにかんだように笑う。
「えへへ、取ったのはジョーなんだけど、私がもらったんだ」
「シリカいいなー、羨ましい。ねえ、あたしにもちょっと貸して!」
「こら、フーム」
大臣令嬢らしからぬお行儀の悪さにメタナイトはたしなめたが、それで光りものへの執着が納まるようなものではない。
更にタイミング悪く、その場にデデデとエスカルゴンが割って入ってきた。
「げっ!あの時の小娘!!・・・んん?その宝石は何ゾイ!?」
「ああっー!!あれは百年に一個しか手に入らない秘宝『星のしずく』でゲス!!」
「なんじゃとっ!!小娘、それをワシに寄こすゾーイ!!」
「あっ!陛下、ずるいでゲス!!知ってたのは私なんだから、私がもらうでゲス!!」
「ちょっと、二人して子供みたいな事言わないの!!」
星のしずくに一瞬で虜になったデデデ・エスカルゴン・フームが三つ巴で言い争う。
今にも取り上げられかねない様子にシリカはメタナイトが無言で示した隠し通路へと逃げ込んだ。
シリカに逃げられたことを知った三人はあっという間に部屋から出るとシリカの後を追う。
カービィ達と星の粒を囓っていたジョーはその光景を呆気に取られたまま見送った。
「ったく、デデデのオッサンもフームもたかが星一個でよくあそこまで喧嘩するよ。ただ光ってるだけだって言うのに」
「無理もない。星のしずくはその稀少さと美しさ、願いを叶えてくれるという能力から計り知れない程の値打ちがある。懸賞金として掛けても百億は下るまい」
「百億!?」
メタナイトの説明にジョーは目をむいた。
まさかあんな小さな星がそれ程の値打ちがあるとは思っても見なかったらしい。
カービィやブンには想像もつかない値段なのか、ブンなどは「それだけあったらこの星の粒、何袋買えるかな?」とカービィに話しかけている。
未だに値段から頭が離れないジョーにメタナイトは続けた。
「・・・しかし、良かったのか?ナックルジョー」
「うーん、でもやった以上売るわけにもいかねえし・・・」
「私が言いたいのはそう言う意味ではなく、シリカに渡して良かったのかと言うことだ」
「どういう意味だよ?」
曰くありげな口調にジョーは首を傾げた。
どうやら『星のしずく』について、それの意味も何も知らない様子のジョーにメタナイトはため息をついた。
『星のしずく』は本来ぶつかり合って消えてしまうはずの流れ星同士が何らかの影響でぶつかり合っても消えず、そのまま結晶化して一つの星として出来るものだと言われている。
二つのものが一つになる、その特性から付けられた『星のしずく』の本当の意味は・・・。

 

「男女の星のしずくのやりとりは、エンゲージリングを意味するぞ」


 

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