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ゲームのちょっとした綴り書き。 気の向くままに更新します
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ようやく今日で全部挙げられました。
亜空の使者シリーズ『It depends about the third day from the start. 』。


ラストのトリを飾るのは成り行きで引っ張られてしまったフォックス&ディディーのチーム。
ファルコ合流前の夜だと思って読んでいただけるとわかりやすいです。
・・・亜空の使者は本当にフォックスが不憫だったので、せめてもの不憫さが若干和らぐように頑張ってみました。


本当は今まで挙げた6チーム以外のメンツサイドも書きたかったんですけど、割と後半になってからの登場だったり、単独での行動が目立っていたりしていてなかなかキャラクターの変化を書き分けるのが難しかったので、初期登場で長期間共同戦線に立ってた6チームに絞りました。



気が向いたら番外編としてまたボツボツ挙げるかも知れません







『It depends about the third day from the start. 』

 


鬱蒼とした密林は清涼とした自然の宝庫だった。
滝のすぐ側の岸辺では、野営の炎が燃えている。

とん、たん、たっ、たしっ

暗闇の向こうから木々を渡ってくる軽快な音が近づいてくる。
その音の主は最後に軽々と跳躍すると、炎の側で待っていた人物の前に颯爽と着地した。
火の側で待っていたフォックスは意気揚々と現れたディディーコングに微笑んで、腕の時計を確認する。
「早かったな。ジャスト10分だ」
「ウキッ!!(やったね!!)」
誇らしげに飛び上がってディディーは持ってきた物、バナナや色とりどりのフルーツ、中にはグロテスクな爬虫類や虫などもいたが、集めた食料をその場に広げた。
よくぞこれほど、と感心するほど大量にある。食料集めは土地勘のあるディディーに任せて正解だったようだ。

フォックスがこの小さな猿・ディディーコングと出会ったのはほんの三日前。
亜空軍の母艦・ハルバードにアーウィンで挑んだフォックスだが、グレートフォックスにも引けを取らない戦闘装備の充実しているハルバードに迎撃されてしまった。
不時着先はジャングルの中の湖、だがそこには強力なポケモン・レックウザが住んでいた。
おそらく亜空軍によって操られていたのだろう、レックウザはその場にいたアーウィンとディディーを襲ってきた。
幸いアーウィンから脱出してレックウザを倒すことが出来たフォックスだが、目的があるディディーに引っ張られるような形で一緒に行動をする羽目になっていた。


(まあ、その方が賢明だったのかも知れないな・・・)
スイカに似た皮の固いフルーツと格闘しているディディーを見ながらフォックスはこれまでの行動を振り返った。
ディディーはすばしっこくてかなり器用だが、どこか無鉄砲で向こう見ずな所がある。
現にクッパの影虫を倒した後、本物のクッパがフィギュア砲を持って現れた時も正面からぶつかっていこうとしていた。
相手を行動不能にするフィギュア砲を前に真っ正面からぶつかっては分が悪すぎる。へたをしたら犬死にするところだった。
すぐさまフォックスがディディーを引き留めてクッパから逃げたため、二人ともフィギュアにされる危険からは回避できた。
だが、このまま二人で亜空軍と戦うのは少々心許ない。
フォックスの口からため息がついて出た。

「ウキャ?(どうしたの?)」
「いや・・・、通信機器とか武器以外全部アーウィンごと無くなったから。味方と連絡付けなくて心配なだけさ」
「キャアァ・・・(そっかぁ・・・)」
レックウザにアーウィンを破壊された時、装備していた物以外全部アーウィンもろとも無くなった。
通信機器さえ無事ならすぐさま仲間に応援を呼んで迎えに来てもらえたのだが、それも出来ずこうして野宿する羽目になってしまった。
三日前のあの日はフォックスにとって忘れられない人生屈指の災難日だろう。
(とりあえず、食料と水は確保できたから明日からはここを出るか・・・)
フォックスが仲間とまったく連絡が付かない状態になって早三日。
さすがにメンバー何人かが捜索してくれている可能性に賭けた方が効率がいい。
「ウキッ!キャッキャッ、キキキッ?(なあ!明日はあのカメ野郎見つかるかな?)」
「・・・クッパのことかな?さあ、でもファイター達を狙っているなら出くわす可能性は高いかもな」
「キャァーキャキャッ!!キャッキャッ、ウキャッ、ウキッ!!(よーし見てろよ!あいつ、今度会った時はおいらがコテンパンにしてやるからな!!)」
雄叫びをあげながら構えのポーズを取って、見えないクッパに相手するようにディディーはパンチやキックを繰り出している。
本物のクッパはディディーのパンチやキックごときでは到底倒せるように見えないが、フォックスは黙ってその様子を見ていた。
そして、ふと思い浮かんだ疑問・・・。
「・・・ディディー」
「ウキャ?(なんだい?)」
ディディーは返事を返したものの、まだフットワークを続けている。
「確か、俺と初めて会った時もクッパに向かって行ってたな。クッパを敵視しているのはマリオさんくらいだと思っていたけど、ディディーはあいつに恨みでもあるのかい?」
「キャーキャキャッ!!ウキッ、キャッ、キキキャ!!(恨みなんてもんじゃねえ!!あの野郎、絶対にただじゃおかねえ!!)」
「ど、どうして・・・」
いきなり怒って激昂したディディーに戸惑いながらフォックスは訳を尋ねる。
するとディディーはしゅんとなって尻尾を垂らして、フォックスのそばに座り込んだ。
「キャゥ・・・、キャァキャゥ・・・(あいつは、おいら達をめちゃめちゃにしたんだ)」

いきなり手下達と現れて大事な食料のバナナを根こそぎ盗んでいった。
密林に暮らすディディー達にとってバナナは貴重な栄養素だ。
大親友のドンキーコングと一緒に追いかけて取り返して喜んでいた矢先、現れたのがクッパだった。
盗んだ張本人がまた盗み返しに来たと思ったディディーだが、奴の目的は違った。
元から目的はファイターであるドンキーとディディーでバナナを盗んだのは二人をおびき出す餌に過ぎなかったのだ。
以前クッパと戦ったことがあるドンキーは奴の性格や考えをすぐ察した。
そして、間一髪でディディーを自慢の怪力で吹っ飛ばしたが・・・。

『ドンキー!!』

宙に飛ばされたディディーはフィギュア砲に撃たれてフィギュアにされた相棒の姿をまざまざと見てしまった。
勢いに乗せられ飛ばされたディディーはドンキーを助けることも叶わず、目を覆うしか出来なかった。
「ウキャッキャッキャッ、キキキッキャッ、キャ・・・(だから、おいらあいつをぶっ倒して今度はおいらがドンキーを助けるんだ。でも、あいつらおいら達が知らないようなへんてこな道具一杯持ってるから、おいらだけじゃ難しくて・・・)」
「・・・そうか」
ディディーの話を聞いて、フォックスはディディーの気持ちがわかるような気がした。
機械などの文明的な機器を知らないディディー達にとって、亜空軍との戦いは未知との戦いで相手が何をしてくるかもわからない。だから、最先端の技術を駆使して戦うフォックスを見てドンキーを助ける手立てに繋がると思ったのだろう。
だから、手段は多少強引だったにしても一緒に来て欲しかったのだ。
(もし、俺がディディーの立場だったら・・・、ひょっとしたら同じ事をしていたかもな・・・)
まさかディディーのように強引に連れ出すような真似はしなくとも、それでも大事なチームメイトを放っておくような真似はフォックスには出来ない。
ファルコが一時チームから抜けた時だって放っておけなかったのだから・・・。
『勝手にうろちょろすんじゃないぜ、フォックス』
前に単独行動をとって、ファルコに説教された時の光景が浮かんだ。
素直に話してはくれなかったが、ファルコもその時フォックスを散々探してくれていた。
「キィー・・・、キキキィ。ウキャキャイキャゥ(ごめんよ、フォックス。おいらのわがままに付き合わせちゃって、でもおいらドンキーを助けたいんだ)」
「いや、構わないよ。むしろ喜んで協力する」
「ウキャッ!?ウキャキャキャッ、キャォキャォッ!!(ほんと!?手伝ってくれるの!!)」
「俺も親友がいるから、気持ちはわかる。明日は俺の仲間と合流できるようにここを抜けよう。本艦に戻ればドンキーの行方だってすぐ掴めるはずだ」
自信に満ちたフォックスの言葉にディディーの目が希望で輝いた。
よほどその言葉が嬉しかったのか、持て余した感情を爆発させるようにディディーはフォックスに飛びついた。
「ウキャァ!!キャッ、キィァキャアキャア!!(ありがとう!フォックス、お前良い奴だー!!最高だー!!)」
「うわっ!!こらっ、ディディー重い!!離せってば!!暑苦しい!!」
飛びかかられて抗議の声をあげるフォックスだがディディーは引っぺがそうとするフォックスの手をかわして相も変わらずまとわりつく。



密林の闇の中、明るい炎の側の笑い声は鬱蒼とした闇を照らし出しているようだった。

 

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