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一応小説は一日一作、三日で三作(いつの時代の歌謡曲だ)が基本なので、今日もUPするのは一作だけです。
ああ、早く全部挙げたいよう・・・。(ジレンマ)
んで、ゼル伝とか星カビジャンルの小説も書きたいよう・・・。
スマブラ小説も書きたい・・・。
リンゼル書きたい・・・。
スタフォサイドの小説も書きたい・・・。
メタカビ書きたい・・・。(ついに本性出したな)
そんなこんなですが、しばらく亜空の使者にお付き合いください。
今回はリュカ&ポケトレサイド。
リュカがヘタレ過ぎます。ポケトレがお兄ちゃん過ぎます。
小説もお気に召していただけて光栄です。ざらめ様さえよろしければ、相互リンク記念に何かリクエスト承ります。文書くしか能のないヘタレ管理人ですが、これからもよろしくお願いします。
『It depends about the third day from the start. 』
廃墟となった動物園から離れた草原でリュカは薪を拾い集め、重ねて火を付ける準備をした。
意識を指先に集中させる。リュカの指先が赤みのある不思議な光を帯びた。
「PKファイアー!!」
光が飛んで薪に当たると、薪は勢いよく燃えた。
「エスパーか、本当に不思議な力だね」
「トレーナーさん」
その様子を見ていた少年、ポケモントレーナーはリュカに礼を言うと早速火の側に座って保存食料をリュックから取りだした。
「はい、リュカの分。しっかり食べて明日に備えないとね。飲み物はゼニガメ頼りだけど」
「あ、ありがとうございます。・・・ごめんなさい、僕何も出来なくて」
「?そんなことないよ。リュカはしっかり手伝ってくれるし、いい子じゃない」
「・・・僕は、いい子なんかじゃないです」
炎を見ていたリュカの目に涙がにじんだ。
特殊な力・通称PSIを使えるリュカはまだ、その力の威力と凄さを充分にわかっていない。
時々自分の想像を超える力を発揮してしまうと怖くてとても扱いこなす自信が無くなってしまうことがあった。
元々戦うことも怖かった。
マスターハンドに召還されたときも、これからいろんな人と戦わなくてはいけないと知らされてどれだけ嫌で恐ろしかったか・・・。
だから、リュカは人知れずこっそり闘技場から逃げ出した。
あそこに行かなかったら戦わなくて済む、そう考えてあの廃墟の動物園を当てもなくぶらついていた。
だが、亜空軍はファイターの一人であるリュカを見逃しはしなかった。
亜空軍のモンスター・ボーギーはリュカを倒そうと執拗に追ってきた。
(もう駄目だ。僕は死んじゃうんだ・・・)
転んで足を取られた時、リュカはそう思った。
だが、その時リュカを助けてくれたのはその昔、リュカの星を救った伝説の少年ネスだった。
自分と同じ能力を持った伝説の男の子。
ネスはリュカ以上にPSIを使いこなして、あっという間にボーギーを倒した。
だが・・・。
『リュカ、危ない!!逃げて!!』
フィギュア砲を持って現れたワリオはネスとリュカを狙って来た。
最初はネスを狙っていたワリオだが、ネスがなかなか仕留められないとなるとリュカに狙いを定めた。
あの時、ネスと同じように逃げれば良かったのに、リュカは体が震えて動けなかった。
動けないリュカを助けようとネスが庇った。
フィギュア砲の一撃を受けたネスはもう動けなかった。
そしてリュカは、ワリオに怖じ気づいてそのまま逃げ出した。
自分を助けて犠牲になったネスを捕らえて高笑いするワリオの声だけが耳について離れなかった。
「・・・僕、逃げたんです。僕には勇気がないから、助けてくれたのにネスを置いて・・・。トレーナーさんがいてくれなかったら、僕きっと今頃まだ・・・」
逃げた後、亜空軍に囲まれたリュカの前に現れたのが旅の途中だったポケモントレーナーだった。
亜空軍の襲撃で手持ちのポケモン3匹のうち2匹とはぐれてしまっていたが、残りの一匹でも勇敢に亜空軍と渡り合っていた。
それ以来、リュカはトレーナーに付いて一緒に旅をしてきたが、もし彼が現れなかったら今でも亜空軍に追われて逃げまどっていたに違いない。
自分がこうしてぬくぬくと生き残っていることさえ厭わしくて、自分が自分で嫌になってしまう。
悔し涙が溢れて止まらなかった。
「僕なんか何も出来ないのに、いなくたって何にも変わらないのに・・・。ネスは僕の身代わりになるべきじゃなかったんだ。僕があの時ワリオに・・・」
言いかけたリュカの口をトレーナーは手のひらで覆った。
驚いて顔を上げたリュカにトレーナーは首を横に振る。
「自分を卑下して責めるのは良くないよ。ましてや、自分が犠牲になるべきだったなんて絶対に言っちゃ駄目だ」
「っ・・・、でもっ・・・」
言いかけたリュカを遮ってトレーナーは言葉を続ける。
「それ以上君が自分を責めたらネスがかわいそうだ」
「ネスが・・・?」
「ネスは君を守りたい一心で犠牲になったんだ。それなのに守ってもらった君がそんなことを言っては君を守りたいと思ったネスの気持ちはどうなるの?僕がネスだったら、すごく寂しいよ。君がそんなに落ち込んで元気を無くしていたらとても安心できない。そう思わない?」
(・・・ネス)
リュカの脳裏にネスの姿が浮かぶ。
優しくて強くて、こんな自信のない自分でも仲間だと言ってくれた。
そんなネスが今のリュカの言葉を聞いて喜ぶだろうか・・・。
しばらく考えた後、リュカは頭を振った。
「ネスは・・・、僕にも優しかった。仲間だって言ってくれた、だから・・・」
「それなら、ネスの気持ちを大事にして今度はリュカがネスを助けないとね」
「・・・でも、出来るかな。僕、ネスと違って勇気もないのに」
リュカの言葉にトレーナーは少し考えるように視界を泳がせる。
「勇気、か・・・。その辺は僕も表現するのは難しいんだけど・・・」
「え?」
聞き返したリュカにトレーナーは苦笑いを浮かべる。
そして、モンスターボールからゼニガメを出して抱きかかるとリュカに触るよう勧める。
最初はためらいがちだったリュカもおそるおそる手を伸ばす。
するとゼニガメは一瞬全身甲羅に引っ込んでしまった後、顔だけ出した。
あまりに愛嬌のあるゼニガメの仕草にトレーナーもリュカも思わず笑った。
「こいつはね、少し恥ずかしがり屋で慣れない人が触るとこうやって引っ込んでしまうんだ。慣れると元気いっぱいに遊ぶんだけどね」
「へえー、可愛いですね」
「こういうところがあるから、こいつをくれた博士はあんまりいい顔をしなかったんだ。『臆病者だから戦わせるには向かない』って」
トレーナーの言葉にリュカは意外そうに目を見張った。
戦わせるのに向かない、そんなはずはないとリュカは思う。
元気だってあるし、トレーナーの言うことはちゃんと聞いて亜空軍相手に立ち向かっていった。
「ゼニガメは臆病なんかじゃないですよ」
「どうしてそう思うの?」
「だって、トレーナーさんのために頑張って戦ってるじゃないですか」
そう答えるとトレーナーは嬉しそうに笑った。
「うん、僕もそう思うよ。だから性格と勇気って関係ないと思うんだ。普段は臆病でも弱虫でもいい、でも大事なときに大事なことに立ち向かって頑張ること、それが勇気なんじゃないかなって思うんだ」
(大事なときに立ち向かうこと・・・)
リュカは心の中で何度もその言葉を繰り返した。
充分にその言葉の意味を飲み込むとトレーナーを見上げる。
「・・・僕でも、出来るようになりますか?」
「もうなってるよ」
「えっ?」
意外な言葉に面食らったリュカにトレーナーは指を三本立てる。
「僕たちが出会ったこの三日間。ネスを助けるって君が行動した三日、今まで逃げずに頑張ってきたって事が君の勇気の証だよ」
「!!」
リュカの頬が一気に赤く染まった。
元気を取り戻したらしいリュカにトレーナーも笑う。
「さあ、僕も明日から頑張ってフシギソウとリザードン取り返しに行かなくちゃ。きっと、リュカにも頑張ってもらわなくちゃいけなくなるよ」
「はいっ!!」